2017.12.10 イヴがゲイでも驚きはない 【イヴ・サンローラン】
イヴ・サンローラン [ ピエール・ニネ ]
評価:3
■ヒトコト感想
イヴサンローランというブランドは知っているが、どのようなものかは知らない。有名ブランドの創設者を描いた本作。若いころにクリスチャン・ディオールのデザイナーに指名されるなど、その才能は早くから注目されていたのだろう。若くして成功するが、ゲイであり精神的な問題を抱えているイヴ。この手の成功者にありがちな不安定感が如実に表れている。
恋人との関係や嫉妬、そして家族や周りの無理解。成功しなければならないという強烈なプレッシャーに押しつぶされる場合もある。それでも新しいデザインで世界を震撼させたその才能は強烈なインパクトがある。ひとりの才能ある若者が作り上げた伝説的なブランドの物語だ。
■ストーリー
イヴ・サンローランの輝けるキャリアと知られざる人生の喝采と孤独を描いた感動作。クリスチャン・ディオールの死後、21歳で後継者に指名されたイヴ・サンローランは、初めてのオートクチュールコレクションを成功させるが…。
■感想
イヴ・サンローランがどのような人物で、どんな人生を歩んできたかがわかる作品。冒頭からクリスチャン・ディオールに抜擢され後継者として指名される。このことからも、イヴは最初から才能に満ち溢れ成功してきたのだとわかる。
ただ、若くして成功するとそこから成功を続けなければならないというプレッシャーが重くのしかかる。スマートだが神経質な表情を見せるイヴ。ゲイであるということが、見た目やイメージそのままだ。この手のデザイナーがゲイというのは、もはやステレオタイプなのかもしれない。
若くして成功した者が陥る定番的な危機がある。金を手にして仕事のプレッシャーから薬物に逃げ込む。イヴは精神的に不安定となり恋人との関係もギクシャクしだす。家族や周りはイヴの才能をほめたたえ、仕事を続けさせようとする。成功者の孤独を感じずにはいられない。
周りが何を言おうと、斬新なデザインを生み出すことができるのはイヴだけ。周りはイヴを助けることはできない。この果てしない孤独感というのが画面から伝わってきた。この孤独な現実からの逃避が薬物へ繋がるのだろう。
本作ではことさらイヴがゲイということに焦点があてられている。客観的に見ると、その手のデザイナーがゲイだというのはわかりやすい。ただ作中では男同士のドロドロとした嫉妬や、女がイヴに対する特殊な思いを見せたりと不思議な状況だ。
イヴがゲイだということを家族は受入れ、周りも受け入れている。イヴがコレクションに対してもなみなみならぬ気迫を見せている。ガリガリに痩せ衰えたとしてもコレクションだけはやりきるため、必死でデザインを生み出し続ける。すさまじい執念だ。
イヴ・サンローランがゲイだということに驚きはない。
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