イン・ザ・ヒーロー


 2017.8.15      日の当たらない職業 【イン・ザ・ヒーロー】

                     
イン・ザ・ヒーロー【Blu-ray】 [ 唐沢寿明 ]
評価:3

■ヒトコト感想
アクション俳優志望の熱血漢・本城。25年間スーツアクターとして頑張ってきた男。暮らしぶりは裕福ではなく離婚している。夢を追いかける男として描かれており、周りからの人望もあり俳優仲間や関係者からは一目置かれている。しかし、顔を出して映画に出演することはない。なんとも悲しい日の当たらない職業をテーマとした作品だ。

本城の対比として、イケメンで将来を嘱望されたリョウという若手俳優が登場する。お決まり通りリョウは生意気で本城の言うことを聞かないが、後半では本城のすごさを理解し、回心する。スーツアクターの世界の厳しさと、スタントマンの重要さが強烈に描かれている。売れる者と売れない者の差がはっきりと描かれている残酷な物語でもある。

■ストーリー
ブルース・リーにあこがれる熱血漢の本城 渉(唐沢寿明)は、“顔出し"で映画出演することを夢見ながら、25年間スーツアクターとしてのキャリアを重ねていた。しかし、“顔出し"での映画出演は叶わず、さらに妻子にも逃げられてしまう。

数年ぶりに巡ってきたチャンスも、ハリウッド・デビューを目指す若手新人俳優の一ノ瀬リョウ(福士蒼汰)に主役の座を奪われ、再び辛酸を舐めることになる……。そんなある日、本城にハリウッドのアクション超大作からオファーが舞い込むが、それは命をも落としかねない危険なスタントだった。

■感想
アクション俳優を目指した男が主人公の本作。俳優志望というと劇団員のイメージがあるが、アクション俳優も似たようなものだ。恐らくは食うのに精いっぱいで、家族を養うなんてのは到底無理なのだろう。本城も結婚し子供はいるが離婚している。

狭いアパートで暮らしながらアクション俳優になることを夢見て25年。周りからは一目置かれ、映画関係者にも名は通っている。それでもやる仕事と言えば、スーツを着てアクションをするだけ。なんだか悲しい現実がそこにはっきりと描かれている。

若手人気俳優のリョウが本城と良い対比になっている。調子に乗っている生意気なリョウ。本城のことをどこか馬鹿にしており、スタッフについても上から目線で対応している。将来はハリウッドを目指すので日本映画なんか眼中にないといった感じだ。

当然のことながら、ガツンと痛い目を見る。本城たちがひたむきに練習する姿を見て、リョウは心を入れ替えることになる。リョウのめちゃくちゃぶりが目立つあたりは非常に良い。生意気な若手俳優が鼻っ柱を折られる場面も良い。ただ、兄弟を養っているという昔風の設定はいらないように思えた。

ハリウッドのアクション俳優も逃げ出す危険なスタントの依頼が本城に舞い込む。ここでスーツアクターの本城は心を決めてスタントにのぞむのだが…。いくらなんでもワンショットで長大な映像を撮り続けることはないだろう。ラストシーンを撮り終えると倒れ込む本城。

いくらなんでもむちゃくちゃだ。本作はJACアクションクラブをモデルにしているのだろう。主演の唐沢自身がアクション俳優を目指していたというのもあり、年齢的にもぴったりの配役だ。

リョウが生意気なころが、実は一番面白かったかもしれない。



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