命ある限り


 2016.4.30      インド映画のエッセンスが凝縮 【命ある限り】

                     
命ある限り 【DVD】

■ヒトコト感想
インド映画。ラブと踊りと長時間。わかりやすい恋愛映画であることは間違いない。冒頭、死を恐れない爆弾処理の少佐・サマルが登場し、そこからサマルがなぜ死を恐れないかが描かれている。およそ半分の時間をサマルの過去の出会いに使っている。実業家の娘ミーラとの運命の出会い。成就するはずのない恋愛に苦悩するが、それでも二人は惹かれあう。

サマルとミーラのありがちな恋を描いた最後に、サマルが交通事故にあい、ミーラはサマルを助けるために神に誓う。二度とサマルと会わないと…。お国柄なのか、教的な意味合いが日本とは違っている。誓いを決して破ることはなく、誓いの内容を聞いたサマルは絶望的な表情となる。インドらしさを感じる場面だ。

■ストーリー

ロンドンの荘厳な教会で運命的に出逢ったストリートミュージシャンのサマルと裕福な実業家の娘ミーラ。しかしミーラには父親が決めた婚約者がいた。それでも想いを確かめ合う2人だが、ある日、サマルが交通事故で意識不明に。ミーラはサマルの命を救うため、神に永遠にサマルとは会わないという誓いを立ててしまう・・・。

■感想
冒頭、サマルが危険をかえりみず防護服なしに爆弾処理を行う。ここでサマルの命知らずな面が強烈に描かれている。サマルがなぜこんな性格になったのか、というのが過去へさかのぼって描かれている。ミーラとの運命の出会い。そこから成就するはずのない困難な恋を、ふたりがどのようにして育んでいくのか。

ミーラとサマルの恋はよくあるパターンだ。インド映画らしく、合間に激しいダンスと歌が挿入されており、物語をしっかりと盛り上げている。そして、恋愛感情のピークに達すると、そこでサマルが事故に合う。定番的だが引きの強さはある。

サマルがミーラと別れた後は、絶対に死なないという思いを込めて、軍の爆弾処理班に入ることになる。ここまででほぼ半分の時間を使っている。そこから軍隊のサマルをアキラというジャーナリストが追いかけ、いつの間にか、アキラはサマルに恋をし、サマルの過去を知ることになる。

現代のサマルの爆弾処理の描写が、なんだかわからないが迫力がある。周りがしっかりと防護服を着込んだ中で、ひとりだけTシャツで爆弾の前に行き、パチパチとコードを切断していく。

サマルがアキラといい感じになり始めると、またまたサマルは事故に合い、こんどは現在の記憶を無くし、ミーラと過ごした時期の記憶となる。ミーラとの恋が絶頂の時のサマルには、アキラなど当然ながら眼中にない。可愛そうなアキラと、ある意味不幸なサマル。

アキラの手配によりミーラと再会するのだが…。インドの宗教観が如実に表れた作品だろう。日本では、永遠に会わないと神に誓ったからといって、絶望的な気分になることはない。インドだからこそ成立する流れなのだろう。

インド映画のエッセンスが凝縮された作品だ。



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