ハングリー・ラビット


 2016.6.21      代理殺人の奇妙さ 【ハングリー・ラビット】

                     
ハングリー・ラビット

■ヒトコト感想
代理殺人のすさまじい恐ろしさがある。妻を暴行されたウィルは謎の男サイモンに代理殺人の提案を受ける。序盤から中盤にかけてのミステリアスな展開はすばらしい。それぞれの人物は、自分が何をやっているのかよくわかっていない。ただ、最終的には目的の人物を殺すことに繋がる。奇妙な合言葉と、一見、何の関係もないように思える繋がりが、実は最後に目的へと繋がっていく。

依頼のやり方も奇妙ならば、実行方法も手が込んでいる。そして、代理殺人を依頼した者は、組織からなんらかの任務を依頼されることになる。ウィルの戸惑いと、何が起きているのかわからない展開が非常にミステリアスで面白い。それが終盤には、普通のアクション映画となってしまっているのが残念だ。

■ストーリー

“代理殺人"の罠に落ちた男がたどり着く、衝撃の真実ニューオリンズの高校教師ウィルは、音楽家の妻ローラと幸せな毎日を送っていた。ある夜、帰宅途中にローラが暴行されてしまい、病院で激しく動揺するウィルに、謎の男サイモンが近づき静かに囁いた―。

「やつを、代わりに始末してやろうか?」 それは、正義という名の下に行われる“代理殺人"の提案だった。悲しみと怒りのあまり、その誘いに乗ったウィルだが、半年後、今度は自分が誰かの代わりに人を殺すように迫られてしまう―。

■感想
妻を暴行されたウィルは、謎の男サイモンへ代理殺人を依頼してしまう。半信半疑の状態ながら、実際に代理殺人が行われたことに衝撃を受けるウィル。このあたりが、まず強烈なインパクトがある。代理殺人と言っても、ひとりの者が行うのではない。

それぞれが役割をもち、ひとりひとりは何をやっているのかよくわからないまま、最終的には代理殺人へと繋がっていく。奇妙な合言葉が組織の人間だという鍵となる。組織としては世直し的な流れがあるのかもしれない。このミステリアスな流れは秀逸だ。

代理殺人を依頼したウィルは、今度は逆に組織から手伝いを依頼される。それは封筒をポストに入れろだとか、誰それを尾行しろだとかいうたいしたことではない依頼だ。それらを実行するウィルだが…。中盤から依頼をウィルに実行させたい組織と、実行したくないウィルの対決のような図式となる。

どのような仕組みで組織は成り立っているのか。そして、ウィルが殺せと依頼された人物は何者なのか。そのあたりは、ウィルが組織に恐怖をいだき始めてから、一気に解決していくことになる。

終盤はごく普通のアクション映画となっている。特別なインパクトはない、ただウィルと組織との対決が続くだけ。組織の息のかかった人間があちこちにおり、警察内部にまで浸透している。たまたま合言葉を口にしたウィルを助け出したりと、奇妙な流れは続く。

中盤までと終盤ではかなりイメージが変わってくる。先が気になるミステリーであったのが、ごく普通のアクション映画となってしまったのは少し残念だ。組織の奇妙さや依頼の巧妙さをもっとひっぱればまた違った印象だっただろう。

代理殺人の仕組みは奇妙で面白い。



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