グリード 下 真山仁


 2016.7.10      強烈なカタルシスを感じる 【グリード 下】

                     
グリード(下) [ 真山仁 ]
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■ヒトコト感想
アメリカに宣戦布告する。弱り切ったアメリカの投資銀行に対して鷲津が追い込みをかける。資金繰りに必死な投資銀行に対しての鷲津たちの強烈な脅しはすさまじい。ストラスバーグや役員たちがどれだけ強気になろうとも、鷲津はびくともしない。相手に告訴すると言われても涼しい顔をする。莫大な利益を上げていたアメリカの投資銀行が、資金不足で必死になる姿というのは爽快だ。

鷲津が相手をじわじわと追い込み、それを感じながらも役員たちは日本のハゲタカに乗っ取られるわけにはいかないと激怒する。プライドの高い役員たちが、実利を求めず自分のプライドのために反発するのは滑稽でしかない。すべては鷲津の思うがまま。非常に爽快なラストだ。

■ストーリー

ストラスバーグに前代未聞の妨害工作を仕掛けられた鷲津政彦は、アメリカに宣戦布告する。未曾有の危機に瀕する投資銀行とアメリカン・ドリーム社は記者会見を連発し、北村たちは必死に食らいつく。Xデーに向けてウォール街の混乱が加速する中、ワシントンD.C.がついに動き始めた。強欲の坩堝に身を置き闘い続ける鷲津。その胸に秘められていた衝撃の戦略とは。

■感想
GCの救済とアメリカン・ドリーム社の買収。鷲津がどのような策略を練るのかは、下巻ではまだはっきりとしない。が、GCもADも鷲津の手に落ちてしまうのでは?という流れがある。ストラスバーグがマスコミを使っての必死の防御策を張り巡らしたとしても、鷲津はあっという間にそれをぶち破り、逆に金の亡者であるストラスバーグを追いつめる。

この流れが最高だ。破たんするかもしれないという恐怖の渦に巻き込まれる社員たち。CEOの横暴を止めることは誰もできないだけに、社員たちの不安は増すばかりだ。

鷲津は常に一歩先を見ている。そして、アメリカの象徴でもあるADが日本のハゲタカの手に渡るのか。バブル期での日本企業の買収のように、サブプライムローンショックにわくアメリカで鷲津が大暴れするのか。ストラスバーグの強烈な妨害工作に対しても涼しい顔で対応する鷲津。

次々と新たな妨害が生まれてくる中で、どこまで鷲津が対応できるのか。想定外なことが起こったように思わせておきながら、すべては鷲津の想定の範囲内となる。強烈なカタルシスがあることは間違いない。

鷲津と共に、怪しげな動きをする飯島が良い味を出している。バブル崩壊時、日本の資産を外資に根こそぎ奪われた男が、復讐のためにアメリカの資産を食い尽くす。現実の出来事ではないが、飯島のような人物が日本にいれば、アメリカのファンドなどにデカい顔をされないだろう。

アメリカ人がADを救うための手段はすさまじい。日本に置き換えて考えても、日本人が一企業を助けるために寄付をすることはあるのだろうか?日本の象徴のような企業はトヨタ?それともソニー?任天堂?なのだろうか。

日本人として強烈なカタルシスを感じることができる作品だ。



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