グリーン・マイル2 


 2017.8.20      奇妙なネズミ・ミスタージングルス 【グリーン・マイル2】

                     
グリーン・マイル2死刑囚と鼠 / スティーヴン・キング
評価:3
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■ヒトコト感想
今回はグリーンマイル内での死刑執行と、高い知能をもつ鼠・ミスタージングルスと、新たに入所した死刑囚ドラクロアの話がメインとなっている。死刑執行の強烈なインパクトと囚人たちがいずれそうなるという恐怖にも似た気分が蔓延する。ドラクロアが飼いならしたミスター・ジングルスは、気に入らない職員がいると姿を見せず、まるですべてを理解しているようにサーカスさながらの動きをする。

飼い主となったドラクロアに、この後、最悪な不幸がふりそそぐのだが、今はまだその前段階で助走期間ということだろう。意地の悪い看守パーシーとドラクロアが、何かしら事件を起こすことは目に見えている。今回はコーフィーがほとんど登場してこないのが印象的だ。

■ストーリー
死刑囚舎房の夏は、インディアン系囚人の処刑で始まった。その頃「グリーン・マイル」には不思議な鼠があらわれた。食べ物をやると神妙な態度で床にちょこんと座って食べ、糸巻きを相手にサーカスさながらの芸当をやる、驚くほど知性的な鼠だった。6人の人間を生きながら焼き殺した囚人ドラクロアが、この鼠の飼い主となったのだが―最悪の地獄がいま、始まろうとしていた…。

■感想
コールドマウンテン刑務所に送り込まれた囚人たちは、いずれ死刑される運命にある。それを再確認するように、インディアン系囚人のビターバックが処刑される。それはごく普通の出来事だが、初めて死刑を目の当たりにしたパーシーは、衝撃により固まってしまう。

あらためて、コールドマウンテン刑務所の囚人と看守には、絶対的な違いがあることがわかる。死刑される者とそれを監視する者。ただ、ポールたちはどんな極悪な囚人に対しても一定の敬意をもって接している。

刑務所に小さな鼠が紛れ込んできた。ネズミは餌をくれる人間の顔を覚えており、気に入らない看守のパーシーがいる時には、決して顔を見せようとしない。新たに囚人としてやってきたドラクロアになつき、ドラクロアがネズミのことをミスタージングルスと名付ける。

この高い知能をもつミスタージングルスの存在にどのような意味があるのか。ドラクロアは反吐が出そうな悪人であることは間違いないのだが、だからといって看守にぞんざいな扱いを受けて良いわけではない。

パーシーとドラクロアの相性が最悪なのは、最初のパーシ―の行動ではっきりとしている。ドラクロアは物腰おだやかだが、ハゲで小男で卑屈な表情をしている。それでもドラクロアが起こした犯罪が凶悪犯罪であり、コールドマウンテン刑務所に収監されるのも納得の人物だ。

ポールはそんなドラクロアに対しても、パーシーには紳士的に対応しろと言う。看守の陰湿なイジメの対象になりそうなドラクロアは、弱い者には強いが、強い者には弱いという典型的な厭なやつだ。

今後に巻き起こる騒動の準備段階だ。



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