ゲゲゲの女房


 2016.9.5      水木しげるの犬食いは衝撃的だ 【ゲゲゲの女房】

                     


■ヒトコト感想
だいぶ前に朝ドラで話題となった作品の映画化。原作は未読で、特に水木しげるについても印象はない。妖怪が好きで京極夏彦と仲が良いというイメージだ。まず最初に度肝を抜かれたのは水木しげるが片腕だということだ。戦争で片腕となり、売れない漫画家として生計を立てる。基本は島根から水木しげるの元に嫁いだ布枝が、貧乏に苦労しながら生活するという物語だ。

全体的に陰鬱な雰囲気が漂っており、合間には水木しげるのマンガが動き出す。そもそもがホラーマンガ家なので、どうにも暗い雰囲気となっている。片腕がない状態で半身に構えたような恰好をして机に向かいマンガを書く。食事の場面では、片手がないので犬食いとなるが、顔を近づけて飯をかき込む。衝撃的な状況だ。

■ストーリー

水木しげるの妻・武良布枝の貧しく厳しい時代に生きた夫婦の姿を綴った自伝エッセイを映画化!お見合いからわずか5日で結婚。昭和36年、出雲の安来から上京した布枝が見たのは、花の東京とは無縁のしげるの底なしの貧乏暮らしだった…。

■感想
水木しげるについてほとんど知識がないので、驚きの連続だった。まず、片腕がないことに驚いた。メディア等で映像は見ていたはずだが、片腕というイメージはまったくなかった。貧乏マンガ家として日々の生活にも四苦八苦していたところへ布枝が嫁に来る。

布枝からしたらほとんど詐欺にあったような形だろう。安定した生活のはずが、日々の米すらない。食べ物を手に入れるために、質屋に駆け込む。それでいて、当の本人は、金はどうにでもなるという根拠のない楽観主義を貫いている。

布枝は水木が売れない漫画家ということを知らなかったのだろう。日々の食事にも苦労し、路傍に咲く草やパンのミミまでも食事に加え、なんとか生活しようとする。そして、その苦労を知ってか知らずか、水木本人は、うまいうまいと飯を食う。

片手で食事をすることがこれほど見苦しくなるとは思わなかった。茶碗が持てないので、どうしても顔を直接茶碗にもっていくようになる。そして、飯をかきこむことになる。これだけであれば、単純に布枝が騙され可愛そうで終わってしまう物語だ。

作中では水木しべるのマンガが動き出す。そもそもがホラーマンガなので、全体として陰鬱な雰囲気がある。強烈なインパクトはないが、すべてが暗くどんよりとしている。生活が苦しいこともあり、布枝にしても明るい表情は皆無だ。

物語として水木が売れ始めてからが明るい物語になるはずが、その前で終わっている。これから売れていくのか?と思う直前で終わっている。どれだけ貧乏暮らしでとんでもない状況でありながら、水木についていった布枝のすごさばかりが印象に残っている。

朝ドラはさすがにこんな雰囲気ではないだろう。



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