ファインド・アウト


 2015.6.20      気になる終わり方だ 【ファインド・アウト】

                     


■ヒトコト感想

過去に、誘拐され深い穴に閉じ込められたジルが自力で抜け出したが、誰もジルの訴えを聞き入れようとしない。ジルの妄想なのか本当に誘拐犯が存在するのか。妹のモリーが突然行方不明となり、探し始めるジル。このあたりで、警察や友人からジルの異常な行動の数々が語られると、ジルの妄想では?という流れになる。

観衆もジルの妄想というオチを想像しながらも、誘拐犯の存在を感じずにはいられない。警察とジルの駆け引きが面白い。誰も味方がいないと知ると、ジルはひとりで妹を探し出そうとする。そこで出会う人から情報を収集し、誘拐犯を見つけ出そうとする。最後まで、すべてはジルの妄想では?というオチが捨てきれないのが秀逸だ。

■ストーリー

ジル(アマンダ・セイフライド)が夜勤明けに家へ帰ると、妹モリー(エミリー・ウィッカーシャム)が忽然と姿を消していた。1年前、誘拐されるも自力で犯人から逃れたジルは、同じ連続殺人犯が妹を連れ去ったに違いないと確信する。

しかし警察は、証拠のないジルの訴えをまともに聞き入れようとせず、動かなかった。日が落ちるころにはモリーが殺されてしまう。恐怖に怯えたジルは妹を救出するため、ひとり犯人の追跡を始める。

■感想
ジルに妄想癖があり、過去には誘拐されたという狂言により警察を混乱させ、精神病院にぶち込まれた経歴がある。そんなジルの不安定な日常が描かれ、のちに妹が突然行方不明となる。ジルはそこで自分の誘拐犯と同じ人物が犯人だと騒ぎだす。

ジルのエキセントリックな性格は、精神に異常があると思われても仕方がない。さらには、監禁から逃げ出したあとに、監禁場所がいっさい存在しないというのが妄想を疑わせる要因となる。観衆は、ジルの頭の中のイメージはすべて真実なのでは?と思いつつも妄想というオチを捨てきれずに見ることになる。

ジルは警察に危険人物としてマークされながら、妹を探し出そうとひとりで動き出す。ジルのアグレッシブさがすばらしい。若い金髪の女があらゆる場所に入り込み、探偵さながらに情報収集し、犯人の手掛かりを得ようとする。

観衆は、犯人の存在が曖昧なため、ジルの誇大妄想というオチをより強く想定してしまう。物語の流れとしても、どちらにでもとれるように巧みに演出されている。刑事がすべて正しいのか、それとも、ジルが正しく、本当に連続殺人犯は存在するのか…。

ラストの流れは秀逸だ。異常者の存在もそうだが、すべてを思いだし復讐の鬼とかしたジルの行動は見事としか言いようがない。その結果、ジルは最後にはすべて自分の妄想だったと片付けようとする。妹が助かることよりも、もしかしたらジルのトラウマの原因を取り除くことがすべてだったのかもしれない。

なぜ、ジルが最後の最後にすべては自分の妄想だと言って終わらせようとしたのか。自己保身なのか、それとも…。やけに引っかかるラストであることは間違いない。

強烈なインパクトはないが、オチが気になる作品だ。



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