ファミリー・ツリー


 2015.7.9      家族の絆を見直すチャンス 【ファミリー・ツリー】

                     


■ヒトコト感想

ハワイで育ったマット。弁護士の仕事に明け暮れていたが、妻がボート事故で昏睡状態におちいり状況が変わってくる。二人の娘たちとの関係や、実は妻が浮気していたなど、問題は山積み。マットが受け継いだ広大な土地の行方も問題となる。人生で、これほどまでに一気に問題が噴出するかというほど、様々な困難にぶち当たるマット。

ひたすら仕事だけをしていればよかった時代はもう戻ってこない。仕事人間が人生の転機で、自分の人生を見直すたぐいの作品だ。特に反抗期の娘に対してどのような態度で接すればよいか悩む場面は、非常によくできている。父親が娘の考えることを理解するのは難しい。人の良いマットの苦悩が、ハワイの大自然で強調されている。

■ストーリー

ハワイ・オアフ島に生まれ育った弁護士のマット・キングは、美しい妻と二人の娘たちの四人で何不自由なく暮らしていた。ところが──ある日突然、ボート事故で妻が昏睡状態に陥ってしまう。さらに妻に恋人がいて、離婚を考えていたことが発覚するだけでなく、その秘密を長女までが知っていることに気付くのだった。

折しもマットは、カメハメハ大王の血を引く先祖から受け継いだ広大な土地の行方について決断を迫られていた。売却すれば一族に巨額の富が入るが、大自然は失われる……究極の選択に頭を抱えていた。全く予期せぬ形で人生の転機を迎えたマットに突きつけられたいくつもの問いかけ。自らのルーツを見つめ直し、家族の絆を取り戻すためにマットが選んだ道とは──。

■感想
有能な弁護士としてハワイのオワフ島で仕事をしていた弁護士のマット。妻がボート事故で昏睡状態となってから人生は大きく変わっていく。まず、今までほとんど顧みることがなかった家族との生活を見直すマット。ただ、仕事人間の男が、いきなり家事をやったところでうまくいくはずがない。

特に娘との関係は最悪だ。何かにつけ反抗的な下の娘。母親がいない状況からなのか、それとも前からそうだったのかすらわからないマット。学校へ謝りにいくマットのなんとも言えない表情が印象深い。

マットの妻は昏睡状態から戻る見込みがなく、延命の治療を終了することになる。母親の死を予感した娘たちは悲しむが、上の娘から妻が浮気をしていたと聞くマット。この時のマットの心境は非常に複雑だ。浮気されていたことのショックと、浮気相手に対する怒り。そして、自分自身の情けなさ。

マットが浮気相手を探す過程で、娘のボーイフレンドとの交流や、土地に絡む人々との関係など、マットの心境を大きく変化させるような状況となる。ついつい、自分ならばと考えてしまうが、マットのように広い心ではいられないというのが正直なところだ。

妻の浮気相手を突き止めどうするか悩み、自分が受け継いだ広大な自然をどうするか悩む。マットの苦み走った表情が苦悩を物語っている。家族との関係を見直し、巨大レジャーへと生まれ変わろうとする大自然の行く末を見直す。

どうすれば家族の絆を取り戻すことができるのか。結局のところ、結果オーライなのかもしれない。妻がボート事故に合わなければ、その後は家庭崩壊へまっしぐらかもしれない。だとすれば、良いきっかけであり、家族がまとまる絶好の機会といえるのだろう。

家族の絆を取り戻したい男の物語だ。



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