デュプリシティ


 2016.11.5      スパイ同士のヒリつく騙しあい 【デュプリシティ】

                     


■ヒトコト感想
企業間のスパイ活動を元CIAと元MI6のスパイたちでお互いが探り合いを続ける。元CIAのクレアと元MI6のレイがお互いを意識し合いながら、おいしいところを奪おうとする。クレアとレイは表面上は愛し合うふりをするのだが、裏では何を考えているかわからない二人だ。特にレイは真面目な顔をして重要な情報をかすめ取ろうとする。

相手の裏の裏の裏をかくピリピリとするスパイ映画だ。企業間での秘密の探りあいの神経戦もさることながら、大金を奪い取ろうとする二人のあさましさも見ものだ。そして、ラストでは思いっきり強烈などんでん返しが待っている。二人が必死になっていたのは何のためなのか。さらに上手がいたという定番的なオチとなる。

■ストーリー
業界トップシェアを誇るバーケット&ランドル社(B&R社)、社長ハワード(トム・ウィルキンソン)と新進気鋭の企業、エクイクロム社の社長ディック(ポール・ジアマッティ)は、日頃から双方を敵対視しているライバル会社。同業経営者同士、常に互いの動向を注視していた。 そんな中エクィックロム社は、業界内では誰もが不可能だと思っていた“驚異の新製品”をB&R社が開発するという情報を入手する。

B&R社は最高機密を守るために、エクイクロム社は“新製品”の情報をつかむために、二人は、ライバル会社に産業スパイを潜入させようと目論む。ハワードが雇ったのは、元CIAでしたたかなスパイのクレア(ジュリア・ロバーツ)、ディックが雇ったのは元MI6で口達者なスパイのレイ(クライヴ・オーウェン)。 かくして、スパイ同士の諜報合戦が始まったのだが、実はこの二人も、大金を横取りしようという画策のもとで巨大企業に潜入するのだった―。

■感想
B&R社とエクイクロム社。企業間の産業スパイをメインとした物語。まずは元CIAのクレアと元MI6のレイのふたりがスパイ活動を行う。二人の関係が偶然の出会いから始まり、お互いの利害関係から協力し合い、いつのまにか恋愛関係となる。

ただ、べったりとした恋愛関係ではなく、どちらも裏で何を考えているかわからない二人だ。大金を手に入れるためには、あっさりと相手を裏切ることもありえる二人。軽妙な駆け引きと、何を考えているかわからない、トップスパイ同士の化かし合いが面白さのポイントだ。

企業間の争いもまた面白い。相手がどんな新製品を開発しているのか。近年の買収先を調査し、どれほどインパクトある製品を作っているのかを調査する。実際の企業でこれほどまで秘密管理が徹底されているのかは不明だが、緊迫感にあふれている。

産業スパイをもぐりこませ、企業のコピー機をハッキングし、情報を吸い取ろうとする。ここまでやるのか?というほど、企業間の秘密情報保持については強烈なインパクトがある。クレアやレイ以外にも多数の者たちが騙し合いの世界でうごめいている。

ラストの展開は非常に爽快感にあふれている。クレアが秘密の化学式が書かれた紙を盗み出し、それをコピー機にかける。受け取るレイは…。クレアもレイも情報を自分だけのものにするタイミングはある。そして、二人ともその行動をとる。

結局のところ、いくら口で相手のことを信じているや愛していると言っても、裏では大金に目がくらんでしまう。まんまと秘密の化学式を手にしたと思い込んだ二人は、化学式を大金に代えようとするのだが…。ラストの展開はまさに爽快の一言でしかない。

スパイの騙し合いはしびれる展開だ。



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