ディファイアンス


 2015.1.19      実話の衝撃 【ディファイアンス】

                     


■ヒトコト感想

本作が実話を元にした作品であることに衝撃を受けた。ユダヤ迫害に抵抗し、1200人もの人々と共に森に逃げ込んだ男の物語。ユダヤ迫害から逃れるため、森に逃げ込むのはわかる。少人数であればそれも可能だろう。それが千人を超えるとどうなるのか。当然、食糧の心配もあるがコミュニティが出来上がりルールが必要となる。

来るものは拒まず、巨大化していく仲間の人数。強烈なリーダーシップにより仲間を守り続けた兄弟の物語だ。真冬の森の中で生活することの過酷さ。森の中でひっそりと過ごすことのむずかしさ。いつ追っ手がくるかわからない恐怖に満ちた生活。多くの仲間を統率するための苦悩と、仲間の信頼を得ることの難しさも描かれている。

■ストーリー

第二次大戦下、ナチス・ドイツに占拠されたヨーロッパの小国ベラルーシ。ナチスのユダヤ迫害に徹底的に抵抗し、多くのユダヤ難民を救った兄弟がいた…。1,200人ものユダヤ人の命を救った兄弟の実話を、ダニエル・クレイグ主演で映画化。

■感想
ユダヤ迫害から逃れるため森へ逃げ込む。最初は数人だったはずが次々と仲間が増え、気づけば千人を超えている。森の中で暮らすことの困難さが強烈に描かれている。まず食料がない。付近の農家から略奪するか、盗むしかない。

住む場所が不足すれば仲間と森の中に家を作る。冬になれば凍えるような寒さと、食糧不足から囚われの身の方が良いと言う者まででてくる始末。こんな状況でありながら、リーダーとして必死に仲間をまとめた男の強烈なリーダーシップが描かれている。

リーダーのトゥビアは、横暴でありながら諦めない強い信念がある。食料難となった時、みな平等に食料を分けるルールに不満を持つ者がいれば、容赦ない制裁がまっている。トゥビアのリーダーとしての資質がどうなのかは不明だが、千人以上の人々を何年も森の中でかくまい続けたのは紛れもない事実であり、それがリーダーとしての能力の高さを証明しているのだろう。

森のキャンプが敵に見つかり、移動しなければならない場合であっても、どんな時でも決してあきらめない。絶体絶命のピンチに立たされても信念を曲げない。その気持ちが仲間からの信頼となったのだろうか。

森のキャンプの生活が過酷なものであるのは当然として、そこから普通の生活を作り出そうとする人間のしぶとさにも驚かされる。何もない森の中に炊事場を作り家を作りそこでひっそりと生活する。真冬になれば、雪がシンシンと降り積もり中でも、生活できるよう工夫がこらされている。

さらには、最終的には子供たちのために学校まで作られていたという。第二次世界大戦という異常な事態においても、ユダヤ迫害から生き残る強さ見せつけられると、人種的な特殊さを感じずにはいられない。

実話ということで、エンディングを見るとじわじわと感動がおしよせてくる。



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
pakusaou*yahoo.co.jp