電話で抱きしめて


 2017.9.1      偏屈な父親と個性的な3姉妹 【電話で抱きしめて】

                     
電話で抱きしめて コレクターズ・エディション /メグ・ライアン
評価:3

■ヒトコト感想
3姉妹の父親の急な入院をきっかけとして、3姉妹の実情が浮かび上がる物語だ。3姉妹それぞれに個性があり、父親は酒に酔うと周りに大きな迷惑をかけるやっかいな人物だ。すれ違う家族の中で、一番のパパっ子だった次女のイヴが、父親のことを真剣に考える。長女のジョージアは仕事に命をかけており、3女のマディは自由気ままな女優業を楽しんでいる。

3姉妹それぞれが人生を謳歌しており楽しそうだ。ただ、父親の存在だけが常に暗部として3人に付きまとう。かといって、3姉妹が父親を嫌っているわけではない。なんだかんだと扱いずらい父親ではあるが、やはり大事に感じている3姉妹。姉妹喧嘩の激しさと、父親の傍若無人具合には強烈なインパクトがある。

■ストーリー
仕事一筋の長女ジョージア、家事と仕事を両立させている次女イヴ、今はとりあえず“女優"をやっている自由奔放な三女マディ。そして老いてなお人騒がせな父親ルー。そんな一見すれ違いだらけの家族がかろうじて結びついているのは電話でのおしゃべりがあるから。けれど、父親の急な入院がきっかけで、一番のパパっ子だったイヴはあらためて家族の愛と絆に気づかされていく・・・。

■感想
3姉妹それぞれが楽しく人生を謳歌していたはずが…。突然の父親の入院がきっかけで3姉妹の関係に変化がおとずれる。父親のことをイヴにまかせっきりの長女と3女。父親との関係の濃さが、いざという時に現れるのだろうか。イヴはひたすら偏屈な父親の面倒を見る。

この父親がまた強烈で、半分ボケているような雰囲気をだしつつも、看護婦に下品なギャグを言ったりもする。明らかに周りから嫌われるタイプのオヤジだ。イヴは実の父親なだけに、必死に父親をフォローするのだが…。

イヴの子供の誕生会に父親が乱入するシーンは強烈だ。酔いに任せて暴言を吐きながら孫の誕生会をめちゃくちゃにする。孫の誕生日ケーキをつぶし、孫の友達は怖がって帰ってしまう。当然、孫は悲しみイヴは怒り、イヴの夫は二度と家に入れないとも言う。

そんなことを理解しているのか、父親は悪態をつきながら、ふらつく足で出ていく。アル中で周りに迷惑をかける存在。お見舞いに来てくれた人に対しても、来るなくそ婆なんてことを言ったりもする。ダメ親父感がすさまじい。

父親の入院をきっかけとして、3姉妹の関係が変わっていく。ラストの場面で、3姉妹が仲よく料理を作るのが良い。まともに料理をしたことがない長女と3女が、イヴに教わりながら料理をする。いい年の三人だが、そこだけはまるで少女になったかのようにはしゃぎまわる。

なんだかんだと周りに迷惑をかけてきた父親だが、死ぬとなると当然悲しい。多くの迷惑をかけてきた人物だからこそ、よりいなくなるとその喪失感が大きいのかもしれない。ただそのシーンに大きな悲しみを感じることはない。

父親と、いい年をした3姉妹のギクシャクした関係が見ものだ。



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