ダーク・ハーフ 上 


 2017.6.24      謎の存在ジョージ・スターク 【ダーク・ハーフ 上】

                     
ダーク・ハーフ 上 / スティーヴン キング / 文藝春秋
評価:3
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■ヒトコト感想
売れない小説家のサドが心機一転、ジョージ・スタークとして犯罪小説を書いたところ大ヒットした。サドは自分の仕事に専念するためすべてを公表したのだが…。ただのペンネームであるはずのスタークが現実世界に登場し、自分を葬り去った者たちへ復讐し続ける。序盤から中盤にかけてのスタークの正体不明感はすさまじい。

サドと同じ指紋と血液型、さらには声紋を持つ人物。サドが殺人事件の容疑者となるが、強固なアリバイのため嫌疑は晴れる。サドとスタークにはどのような関係があるのか。上巻では、まだすべての可能性は捨てきれないが、サドが実はスタークだったというオチはないだろう。だとすると、スタークはいったい何者なのか…。

■ストーリー
売れない純文学作家サド・ボーモントには、世間に知られていないもう一つの顔があった。血なまぐさい犯罪小説を書く、ジョージ・スタークなるベストセラー作家の顔が。本来の自分の仕事に専念したくなったサドはある日、すべてを公表し、ペンネームを葬り去ることにする。それがどんな悪夢の幕開けになるかも知らずに…。

■感想
サドが生み出したペンネームが実在の人物となって凄惨な殺人を繰り広げる。冒頭、幼少時代のサドの脳には、生まれるはずのもう一人の子供の残骸が残っていた。このことに何か大きな意味があるのか。スタークが殺人を犯すと、残された証拠からサドが疑われることになる。

指紋と血液型が一致するという証拠が残るとサドは言い訳することができない。が、サドには強固なアリバイがあり、殺人の嫌疑から逃れることができた。スタークとサドの関係が不明な状態では、なぜスタークがサドと同じ指紋と血液型を持っているのかが気になる部分だ。

スタークは自分を葬り去った関係者たちを次々と殺害していく。それはサドが住む場所からはるか離れた場所なので、この時点でサド=スタークという関係はないと思えた。それでも、オチがどのようになるのか想像しながら読んでしまった。

サドの小説に感化された異常者がスタークを真似ているのか。作中ではサドの別人格のような描かれ方もみえてきた。現実的なオチはないだろうと想像できるが、あまりにファンタジーに傾くと、オチとしてインパクトに欠けるような気がする。

保安官がサドとスタークの関係に疑いをもち始める。下巻ではスタークとサド自身が出会うことはあるのだろうか。幼少期の手術が何か大きな影響があるのか、それともまったく別のパターンなのか。強烈なインパクトはないのだが、オチが非常に気になる

早いうちにサド=スタークという図式が崩れたので、その先にどのような結末になるのかが気になるところだ。スタークの異常さと、警察に捕まらない狡猾さをあわせもつ男。なぜサドと同じ指紋と血液型をもっているのか。

すべての謎は下巻で明らかになる?



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