第九軍団のワシ


 2015.12.13      奴隷と主人の男くさい旅 【第九軍団のワシ】

                     


■ヒトコト感想

中世ローマで巻き起こるミステリー。という触れ込みだが、ミステリー感は少ない。ローマ最強の第九軍団5000人の兵士が突然姿を消した謎を解き明かす。団長の息子であるマーカスが、父親たちが消えた謎を解明するために危険な道へと足を踏み入れる。中世ヨーロッパの雰囲気は満点だ。奴隷制度がまかり通る世界であり、血なまぐさい戦いが繰り広げられる。

5000人もの兵士が消えた原因は何なのか?そして、マーカスはどうなるのか。物語としてのミステリアスな部分よりも、マーカスとその奴隷が、どのような結末を迎えるかに興味がわいてくる。過酷な道を歩む過程では、生き残るために獣にくらいついて栄養をとらなければならない。ミステリーの要素は限りなくゼロに近い。

■ストーリー

ワシの紋章と共に消えた父と息子の絆をめぐる歴史ミステリー。ローマ最強と言われた第九軍団5,000人の兵士が忽然と姿を消した。20年後、成長した息子のマーカスは消息不明の父の足取りを追い、過酷で危険な旅に出る。

■感想
最強と言われたローマ帝国の第九軍団が突如姿を消した。となると、ミステリー的には超常現象的な何かを想像してしまうのだが…。中身はごくまっとうな作りとなっている。中世ヨーロッパでのローマ帝国の強烈な権力と、無理やり従わされ奴隷とされる周辺の国々。それらが物語の鍵を握ることになる。

第九軍団の団長の息子であるマーカスが、消えた父親を探すため、ひとりの奴隷と共に旅にでる。この奴隷とマーカスの関係がポイントだ。奴隷は虫けらのように殺されるのが当たり前の時代に、助けだし共に旅をしようと考えるマーカス。

マーカスの男気あふれる行動が見ものだろう。そして、マーカスの行動に心打たれる奴隷の心境もよくわかる。主人と従者のような関係となるマーカスと奴隷。男くさい二人の旅だが、妙なさわやかさがあるのは、演じている俳優の効果なのだろう。

道中でマーカスが危険な目にあったとしても、奴隷が体を張って助ける。さらには、第九軍団が消えた元凶に出会ったとしても、奴隷はマーカスを裏切ることがない。一見クールに見える奴隷だが、心の奥底には熱い気持ちがたぎっていたのだろう。

強烈なインパクトがあるのは、間違いなくマーカスと奴隷の旅だ。生き残るために食物を体の中に入れる必要がある。奴隷は小動物を躊躇なく口にする。マーカスは…。非常に気持ち悪い場面だが、それらを隠すことなく描いているのがすさまじい。

かと思うと、裏切った奴隷に見せしめのため、子供の首を掻っ切るという場面があるのだが、そこは非常にソフトな描かれ方をしている。メリハリが利いているというか、ミステリーではないが、男くさい旅物語としては面白い。

ミステリーの要素は限りなくゼロに近い。



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