Classical Fantasy Within 第5話 島田荘司


 2016.5.30      どこかで読んだエピソード盛りだくさん 【Classical Fantasy Within 第5話】

                     
Classical Fantasy Within 第5話/島田荘司/著【新書・選書 講談社】
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■ヒトコト感想
サラディーンを救うための旅を続けるショーン一行。今回は巨大な翼手竜の追撃をかわしながらの道中となる。トラブル続きの旅の中で、まずは巨大な翼手竜に襲われることになる。そこから戦いに必要な矢が不足しているため、どうにかして補充しなければならず、囚われの姫を助ける任務も受けることになる。物語にはポイントとなる出来事があるのだが、それがすべてどこかで読んだことのあるようなエピソードだ。

矢が足りないために補充するエピソードはそのままをいろいろな物語でみた。姫を助けるための重りを使った移動方法は、ちょっとした数学の計算問題のようにすら思えてくる。物語の中盤として、結末へ向けての助走段階ということなのだろう。

■ストーリー

千騎の仲間は瞬く間に十四騎に!滅びの迫った都、サラディーンを救うためのタイムリミットは五日間。月の女神アイラの待つイスラエルまでたどり着くためには、翼手竜の襲撃を打ち破り、獰猛な蛮族ガズビーンの砦に立てられた塔に幽閉されているヒュッレム姫の救出に成功し、「聖なる槍」を手に入れなければならない…。

神の創りたもうた地上で最悪の地、アル・ヴァジャイヴを横断するショーン・マスードら王室守備隊の決死の横断行は続く。

■感想
ショーン一行を待っていたのは超巨大な翼手竜だ。体は固い鱗に覆われ、剣や矢は歯が立たない。兵士たちはただ食われるしかないと思われたその時、ショーンが起死回生の一発を放つ。強力な翼手竜にも弱点はある。

体が硬い鱗で覆われているのであれば、その内部から破壊するしかない。翼手竜を倒したことで勇者とあがめられるショーン。そのおかげで姫を助ける命令をうけることになる。アル・ヴァジャイヴへ向かう旅はいったん置いといて、まずはミッションをこなすのが本作のメインだ。

囚われの姫を救うミッションでは、高い屋根の上から姫と従者をどのようにして下に運ぶかがポイントとなる。ふたつの籠とちょっとした重りを使いながら、三人をどのようにして安全に下まで運び出すことができるのか。それぞれの体重と重りを使い、片側の籠に人間と同じ程度の重さが入らなければ、籠は一直線に下まで落ちてしまう。

そのため、降ろす人よりも少しだけ軽い状態にしなければならない。これはまさしくちょっとした数学の問題だ。順序良くすすんでいき、最後には三人が手品のように無事下に到着する。かなりすっきりする流れだ。

翼手竜を倒すためには矢が必要となる。しかし、その矢がない。そのため、大量の矢をどうにかして手に入れなければならない。どうするのか?ショーンがとった方法は、あまりにオーソドックスで定番すぎる流れのため、まさかその方法?と途中まで疑っていた。

何のひねりもなく大量の矢を手に入れ、物語は先にすすむ。なんとなくだが、作者は本作に関して、他からかなり流用しているような気がしてならない。どこかで読んだことのあるエピソードであることは確かだ。

物語の中休み的な展開なのだろう。



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