2017.8.24 背景の映像がすばらしい 【秒速5センチメートル】
秒速5センチメートル [ 新海誠 ]
評価:2.5
■ヒトコト感想
「君の名は。」の新海誠監督がブレイク前に監督した作品。「君の名は。」と同様に、背景の映像がすばらしい。3つの短編が描かれている。キャラクターはアニメ絵全開だが、背景はリアル感があるように見え、デフォルメされた美しさがある。内容的には、ひとりの男の小学生時代から社会人となるまでが描かれている。
小学生時代には転校した彼女に電車を乗り継ぎ会いに行き、高校生となると他の女生徒に憧れられる存在となる。ラストの物語では社会人となった男と、婚約し幸せな彼女がすれ違う物語となっている。ラストの「秒速5センチメートル」は、映像的なすばらしさが強烈な印象として残っている。特に舞い落ちる桜の花びらの映像はすさまじい。
■ストーリー
小学校の卒業と同時に離ればなれになった遠野貴樹と篠原明里。大雪の降るある日、ついに貴樹は明里に会いに行く決心をする。「桜花抄」「コスモナウト」「秒速5センチメートル」を収録。
■感想
遠野と明里の物語。「桜花抄」では、離れ離れになった遠野が、電車を乗り継ぎ明里に会いに行く物語だ。小学生が電車を乗り継ぎ、雪深い駅で明里と待ち合わせをする。小学生ならではの不安感と、電車が大雪により遅延するなどのアクシデントがある。
小学生時代に男と女が仲よくしていると、周りから囃し立てられるのが普通だ。本作では遠野と明里はそれらの周りの声を気にせず、ふたりだけの世界を構築する。大雪が降る中で、昔ながらのやかんが載ったストーブで温まるふたり。ノスタルジックな気分になれる映像だ。
「コスモナウト」は、遠野にひそかに恋をする女の子の物語だ。高校卒業をひかえ、進路に悩むお年頃。気になる遠野は東京に行くらしい。サーフィンに燃えている女の子は、自分の進路を迷う。遠野はあくまでも憧れられる存在でしかない。
ここに明里は登場せず、遠野は恐らく主人公の女の子に恋愛感情はない。それでも、遠野への思いを告げずにはいられない女の子の葛藤が描かれている。背景のすばらしさは印象的であるだけに、キャラクターの典型的なアニメ絵がどうしても気になってしまう。
ラストの「秒速5センチメートル」は、大人となった遠野と明里がすれ違う物語だ。舞い散る桜の花は強烈なインパクトがあり、思わずその映像に見入ってしまう。本短編が良いのはキャラクターがほとんど話さず、音楽にのせてカットが目まぐるしく変わるからだろう。
キャラクターのアニメ絵と共に気になったのが声だ。どうも薄いというか、声に張りがなく力が抜けるような声だ。背景映像のすばらしさに比べると、キャラと声が弱いので物語性はあまり印象に残らない。
背景のすばらしさが強烈に印象に残っている。
おしらせ
感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
pakusaou*yahoo.co.jp