武士の献立


 2017.8.16      包丁侍が作る美味そうな料理 【武士の献立】

                     
武士の献立 /上戸彩,高良健吾,西田敏行,朝原雄三(監督),岩代太郎(音楽)
評価:3

■ヒトコト感想
大名の料理を作る専門の侍を包丁侍という。本作は気が強いがゆえに離縁された出戻り娘の春を主人公とした物語だ。包丁侍の息子の元に嫁ぐことになった春。息子の安信は長男が急死したことから急遽跡を継ぐことになった。本来なら侍になりたかった安信。料理を仕事にすることに嫌気が差しているが、春と生活することでその考え方が変わっていく。

春がすさまじい料理の才能をみせる。まずいお吸い物を瞬く間に美味しいお吸い物に変えてしまったり。安信の料理の方針をひそかに助けたり。安信が料理に本腰を入れるのは、クーデターに参加できなかったことが大きい。包丁侍とそこに嫁ぐ女の波乱万丈の物語だ。

■ストーリー
優れた味覚と料理の腕を持つが、気の強さが仇となって1年で離縁された春(上戸彩)は、ひょんなことから加賀藩の料理方である舟木伝内(西田敏行)に料理の腕を見込まれ「息子の嫁に」と懇願される。伝内のたっての願いで、息子安信(高良健吾)のもとへ嫁ぐことを決意した春。

舟木家は代々藩に仕える包丁侍の家。しかし、夫となる跡取り息子の安信は料理が大の苦手で、4つも年下! 春は、姑の満(余貴美子)の力も借りながら、必死に夫の料理指南を始めるが・・・。

■感想
料理の腕は良いが気が強いため離縁された女・春。包丁侍の舟木にその腕を気に入られ、息子の嫁に春を迎え入れようとする。この息子の安信が曲者だ。次男坊のため、道場に通い剣の腕を磨きいずれは道場の養子になろうと考えていたのだが…。

長男の急死により、包丁侍を継ぐことになる。料理を作ることに真剣になれない安信の元に春は嫁ぐことになる。ここで春と安信のゴタゴタがある。春の料理の腕は安信のイマイチな料理をすばらしいものに変えてしまう。ただ、それを快く思わないのは安信の方だった。

安信は仲間に誘われ藩のクーデターに参加しょうとする。それを知った春は命がけで安信を止める。侍として討ち死にしたい安信。明らかに失敗するとわかっているクーデターに参加するのは、自殺行為でしかない。春はそれを知っているがために、安信を必死で止めようとする。

ここから安信と春の関係が変わっていく。クーデターに参加できず生き残った安信は料理の腕を磨くことに心血を注ぐ。それに協力する春。この二人の一体感はすばらしい。安信の目の色がはっきりと変わるのが印象的だ。

物語のピークは安信が大一番の料理でどのように振る舞うかがあるのだが…。そこで立派に成長した安信はすばらしい結果を出す。が、そこで春が出て行ったことを知る。まさに春は成功請負人のような引き際だ。安信の跡継ぎを作れていないということを負い目に感じ身を引く春。

気が強いが気を使いすぎることもある。春と安信の関係以上に、安信の母親が春のことをかっており、跡継ぎができないことを一番気にする母親が、春を連れ戻すまで帰ってくるなと安信に伝えるなんてのは、なんだか泣ける場面だ。

包丁侍たちが作る料理はどれもうまそうだ。



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