2016.1.9 恐ろしい盲目の暗殺者 【ブラインドマン その調律は暗殺の調べ】
■ヒトコト感想
ベテラン刑事のラサールが連続殺人犯をおいかける物語。異常な殺人であることは間違いなく、当初は犯人を見つけ出すことに重点が置かれていた。その後、盲目のナルヴィクが登場してくると、一気に物語はラサールとナルヴィクの駆け引きへとシフトしていく。元軍人で盲目だが凄腕の暗殺能力を持つ男、ナルヴィク。ラサールの不良刑事風な流れが捜査の進展を遅らせている。
まずナルヴィクが盲目であるために、完全犯罪が可能なのか?ということから始まる。聴覚だけですべてを判断できる男。ナルヴィク犯人説をとなえるラサールだが、上司たちは受け入れることができない。ラサールの自暴自棄加減が、物語によいスパイスとなっている。
■ストーリー
盲目だが凄腕の暗殺者ナルヴィクと妻を亡くして自暴自棄になったベテラン刑事ラサールの対決を描いたフレンチ・ノワール。
■感想
妻を亡くして自暴自棄となったラサール。ナルヴィクとの初対面の場面で、部下に愛されていると告げられ、困惑するラサールが良い。無精ひげを生やした渋い男のラサール。部下の美しい女性に恋心をいだかれていると知りながら、気づかないふりをする。
ラサールと女刑事のコンビが、ちぐはぐなようでいて名コンビ風な雰囲気をだしている。粗暴で犯人に対して容赦のないラサールが、部下に愛され困惑する。上司に対しても、犯人を逮捕できればよいのだろう?という態度でのぞむのがかっこよい。
ラサールとナルヴィクの対決は見ものだ。完全に盲目なナルヴィクに疑いを持つラサールが、ナルヴィクが本当に盲目か確かめる場面がある。視覚がない代わりに他の感覚が鋭くなった男ナルヴィク。暗殺者として、目が見えないことを逆手にとり、完璧に仕事をこなす。
中盤までナルヴィクの暗殺の目的が全く不明だったのだが、後半で明らかとなる。なぜナルヴィクは暗殺者となったのか。ある者の命令をこなしていただけとわかり、また利用されていたと知った時のナルヴィクの苦悩は表情に表れていた。
ラサールとナルヴィクの最後の対決はすさまじい迫力がある。ラサールに自分を撃たせたいナルヴィクと、逮捕したいラサール。目が見えないナルヴィクの話術に翻弄され、銃を構えるラサール。この瞬間的な緊迫感はすさまじい。
殺さなければ殺されると気づいたラサールは、最後の最後に…。暗殺者が盲目でありながら凄腕というところがポイントなのだろう。強烈なインパクトはないのだが、特殊な刑事と特殊な犯人との、ひりつくような駆け引きというのは、思わず熱中して見てしまう。
暗闇でうごめく盲目の暗殺者は恐ろしすぎる。
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