ボクたちの交換日記


 2016.12.20      芸人の世界の厳しさを感じる 【ボクたちの交換日記】

                     


■ヒトコト感想
売れない芸人の辛さを赤裸々に描いた作品。30歳を目前にして、くすぶり続けるお笑いコンビ房総スイマーズ。甲本は学校の人気者がそのまま芸人になったような感じであり、田中は暗い雰囲気だがお笑いの才能にあふれている。売れない芸人の常としてバイト生活や、彼女と同棲し紐同然の生活をするなど、わかりやすい流れとなっている。

一発逆転を目指してのお笑いコンテストへ参加したのだが…。房総スイマーズは解散し、田中は別の芸人とコンビを組むことに…。才能のあるなしが如実に現れる環境は辛い。特にコンビの片方は売れて片方が売れないとなると、その格差はすさまじい。最初から最後まで交換日記によって会話をする二人。売れない芸人の辛さを感じずにはいられない。

■ストーリー
高校水泳部の同級生であった田中(伊藤淳史)と甲本(小出恵介)が“房総スイマーズ"というお笑いコンビを結成し早12年。30才を目前にしながらも売れる気配は一向にない。

冴えない日々が2人の心の距離を徐々に離れさせていくが、そんな状況を打開しようと甲本が発案したのが「交換日記」! 最初は気乗りしなかった田中だが「日記」を通じて言えなかった本音を語り合ううち、ふたりの関係に微妙な変化が起こり始める。そしてまた再び夢に向かって走りだした2人は全てを掛けお笑いコンテスト“笑軍"に挑むのだが・・・。

■感想
売れないお笑い芸人コンビが、現状を打開するために交換日記を始める。といっても積極的なのは甲本だけ。田中の方は交換日記に否定的である。売れないため貧乏で、甲本は彼女の家に転がりこむ。田中はバイトを続け、ネタを書き続ける。

二人の性格は対照的で、甲本は明るく楽しい学校で人気者タイプ。田中はおとなしいがボソリとつぶやく言葉が面白いタイプ。テレビ局のディレクターからは、田中の評価が高く、放送作家に誘われたりもする。房総スイマーズでは甲本が足を引っ張っているという流れとなる。

お笑いコンテストで準決勝まで出場するが、甲本がネタを飛ばしたため敗退する。そこで解散を考える甲本。田中は拒否するが、結局二人は解散することに。売れない芸人コンビが解散することはよくあること。そして片方が別の芸人とコンビを組んで売れっ子になることもよくあること。

田中は売れっ子となり甲本は芸人を辞めて居酒屋の店員となる。ふたりの境遇はどこにでもある芸人の話なのかもしれない。実力がある者は周りから誘われ売れる道へとすすんでいく。ダメな者は…。

甲本も田中も彼女がおり、結婚までしているのは好感がもてる。売れっ子芸人となった田中もバイト時代の彼女と結婚している。ラストでは甲本の娘が田中の前に現れる。大物芸人となり人気番組の司会をまかされる田中と、末期がんで余命わずかな甲本。

最後まで交換日記による当時の内幕が語られるのだが…。芸人の世界の厳しさを感じる流れだ。田中本人には内緒で関係者が甲本に対して解散を促す。甲本からしたら非常に屈辱的なことだが、これが日常的に行われているのだろう。

売れない芸人の世界の厳しさを感じる作品だ。



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