僕達急行 A列車で行こう


 2016.8.11      鉄オタたちの楽しげな生活 【僕達急行 A列車で行こう】

                     
僕達急行 A列車で行こう [ 松山ケンイチ ]

■ヒトコト感想
鉄道オタクの小町と小玉。ふたりを中心として物語はすすんでいく。ふたりはオタク独特の話し方をする。それは丁寧な口調だが、どこかよそよそしく感じてしまう。ふたりはそれぞれ、女性がそれほど得意ではない。小町は意識せずとも女性から人気がある。小玉は父親のおせっかいでキャバクラのお姉さんと見合いをしたりもする。

鉄オタであるふたりは何より鉄道が好きだ。偶然にも小町の仕事相手が鉄オタであり、仕事で出会う前に鉄オタとしてつながっていたために仕事でうまくいく。物語的にはそこまで山あり谷ありではない。わりとすべてうまくいっている。人の悪意や何か強烈なインパクトのある出来事がおきるわけではない。ただ、安心して見られる作品だ。

■ストーリー

のぞみ地所の社員、小町圭(松山ケンイチ)とコダマ鉄工所の二代目、小玉健太(瑛太)はともに鉄道を愛する者同士。ふとしたきっかけで出会ったふたりは、すぐに仲良くなる。住まいにもトレインビュー(鉄道が見える景色)を追求する小町は、コダマ鉄工所の寮に入るが、やがて転勤で九州支社に行くことになった。

九州には、のぞみ地所がなかなか口説けない大手企業の社長(ピエール瀧)がいたが、鉄道ファンだったことから小町や小玉と意気投合、事態は好転。ところが、小町も小玉も、恋のほうは趣味や仕事のようにはうまくいかず、途方に暮れていたが……。

■感想
鉄オタが自分たちの趣味を楽しみながら日々を暮らしていく作品だ。会社員の小町と町工場の二代目の小玉。ふたりは共にかなりの鉄オタだ。撮り鉄ではなく乗り鉄で、小町などは九州に転勤と言われても、九州の鉄道に乗れるからと喜ぶ。

女の子とデートしていたとしても、音楽を聴きながら鉄道に乗り外の景色を眺めひとりの世界に入る。当然、ひとりっきりにされた女性は怒って帰ってしまう。小玉は純粋に鉄道が好きで仕事も好き。当然女性には縁がなく、どこか奥手なイメージがある。

小町は人知れず女性を惹きつける能力があるようで、作中でもふたりの女性から言い寄られるような感じとなる。小玉は逆にキャバクラ嬢と見合いをするが、あっさりとふられてしまう。ふたりの中では、女性よりも鉄道を趣味とする友達と電車に乗っているのが楽しいという感じだ。

ふたりの旅の中で、偶然知り合った男が、実は取引相手の社長だったりと、物語は趣味による繋がりからトントン拍子にうまくいくことになる。鉄オタとしてぼんやりした感じだが、シンデレラストーリー的にうまくいくのは見ていて非常に心地良い。

鉄オタたちは自分の好きなことをやりながら、失恋したり仕事で苦労したりと様々な状況がある。ただ、前向きな考え方と、深刻に悩むことがないふたり。オタクらしい話し方ではあるが、気のいい兄ちゃんといった感じだ。登場人物たちはすべて良い人たちばかりだ。

悪意ある人物はいない。ヘンテコなギャグが入ったり、ちょっと面白展開ではあるが、安心して楽しむことができる。しいて上げるなら、鉄オタたちが会話する鉄道知識で、路線に関する部分を知っていればさらに楽しめることだろう。

鉄オタたちの話し方が印象的な作品だ。



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