ブラック・スワン


 2016.8.7      ラストのダンスの場面は必見 【ブラック・スワン】

                     
ブラック・スワン [ ナタリー・ポートマン ]

■ヒトコト感想
白鳥の湖のプリマを演じることに心血を注ぐニナ。ニナに自分が果たせなかった夢を託す母親。プリマを狙う若手有望株のリリー。役に没頭するあまり混乱におちいるニナの錯乱具合がすさまじい。中盤からちょっとしたホラー映画のように、怪しげな現象が起こる。これは、ニナがプレッシャーに負けて錯乱したためなのか、それともプリマに敗れていった者たちの怨念なのか。

序盤から中盤にかけてと、中盤から終盤にかけてはかなり物語のトーンが変わってくる。現実と夢のはざまを彷徨うニナ。朦朧とした中で踊る白鳥の湖はとてつもない迫力がある。それはまさに自分の命を削りながらの踊りということなのだろう。鬼気迫る演技だ。

■ストーリー

ニューヨークのバレエ・カンパニーに所属するニナは、元ダンサーの母親の寵愛のもと、人生のすべてをバレエに捧げていた。そんな彼女に新作「白鳥の湖」のプリマを演じるチャンスが訪れる。しかし純真な白鳥の女王だけでなく、邪悪で官能的な黒鳥も演じねばならないこの難役は、優等生タイプのニナにとってハードルの高すぎる挑戦だった。

さらに黒鳥役が似合う奔放な新人ダンサー、リリーの出現も、ニナを精神的に追いつめていく。やがて役作りに没頭するあまり極度の混乱に陥ったニナは、現実と悪夢の狭間をさまよい、自らの心の闇に囚われていくのだった……。

■感想
新しい白鳥の湖のプリマに選ばれるニナ。ライバルたちとの争いに勝ち、現プリマを蹴落として役を得る。バレエダンサーにとって最も憧れる場所に立つことができるニナ。そこでプレッシャーに負け混乱をきたすことになる。ニナの前には厳しい演出家のトムや若手有望株のリリーがいる。

それらからのプレッシャーにより、ニナは徐々におかしくなっていく。中盤からは、まるでホラー映画のようにニナの周りに奇妙な現象が起きる。これが何者かの呪いなのか、それともニナの錯覚なのか、この時点ではまだわからない。

実力はあるがプレッシャーによりうまく演技ができないニナ。家に帰れば母親のプレッシャーがまっている。八方ふさがりのニナの目の前でリリーはめきめきと実力をつけていく。このあたり、ニナの役に対する執着と、役を奪われる恐怖が強烈に描かれている。

ニナの周りで起こる奇妙な現象は、下手なホラー映画よりも恐ろしい流れだ。そして、満身創痍で初日を迎えるのだが…。結局のところニナの思い込みがすべてを引き起こしているということなのだろうか。

ラストの踊りはすさまじい。ガリガリに痩せたニナが危機せまる表情で踊る。ブラックスワンとなった時の悪魔の表情は、まさに何かにとりつかれ踊り続けるといった感じだ。錯乱状態のまま、邪魔する者をすべて排除し舞台に立つ。

命を削りながらのダンスは、観衆を感動の渦に巻き込む。このあたり、演じているナタリー・ポートマンの役作りのすさまじさにも圧倒されてしまう。ガリガリだが、目だけが異様にギラギラとひかり、ブラックスワンではまるで別人のような恐ろしい表情をする。

ラストのダンスの場面だけでも必見かもしれない。



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