ビクトリア女王 世紀の愛


 2016.5.17      ビクトリアをめぐる政治的駆け引き 【ビクトリア女王 世紀の愛】

                     


■ヒトコト感想
イギリスの女王であるビクトリア女王が、アルバートと結婚し強いイギリスを作り上げる直前までが描かれている。幼いころから女王の資格をもち、周りの大人たちからどのような言葉を浴びせかけられようとも、自分の信念を貫き通す。権力欲の強い大人たちはビクトリアを操作しようとする。大人たちのビクトリアをめぐる政治的な駆け引きがポイントなのだろう。

年齢を重ねるにつれ、意志をもち好き嫌いをはっきりと言うビクトリア。実の母親に対しても、強烈な言葉をあびせかける。強い女性というイメージがあるが、実際にはビクトリアの良き相談相手もいたということだ。ひとりの女性を巡る男たちの駆け引きが面白い。特に結婚相手となることを目的とする男たちの努力はすさまじい。

■ストーリー

七つの海を支配し、イギリスを「太陽の沈まぬ国」と呼ばれるまでに押し上げた、ヴィクトリア女王。黄金期を夫婦で支え続けた女王とアルバート公は、19世紀当時から今もずっと、史上最高の理想のカップルとして、語り継がれている。

しかし、真の絆を結ぶまで、二人は数々の波乱と困難を乗り越えなければならなかった。母親との確執、王室の権力争い、政治家との駆け引き、マスコミが書きたてるスキャンダル、二人を引き裂く疑惑、国民の暴動。

■感想
ビクトリア女王の成長物語だ。幼いころから権力を目的とする者たちが、常に周りをうろつくことになる。王室の権力争いの醜い部分が物語の多くを占めている。実の母親さえも、ビクトリアよりも権力を重視する。そして、政治家たちはビクトリアを国の運営から排除しようとする。

幼い少女を大人たちが自分の都合の良いように動かそうとする。権力に固執した大人たちの汚い部分がこれでもかと描かれている。王になることはできないが、王と同等の権力を得ようとする。そして、その権力争いに敗れた者たちのみじめな部分も描かれている。

ビクトリアの周りには、権力欲にまみれた大人たちと、ビクトリアと結婚しようとたくらむ男達が群がる。その中のひとりであるアルバートは、ビクトリアの好みの男となるように努力をする。それすらも、アルバートを王室に入り込ませて利益を得ようとする者の策略でしかない。

結局のところ、すべては権力に繋がる。物語的には最初は権力を目的としてビクトリアに近づいたアルバートだったが、最後は愛によりビクトリアと結婚することになる。女王の夫となることの苦悩もオマケ的に描かれている。

強烈に印象に残っているのは、強い意志をもつビクトリアであっても、相談役として常にひとりの政治家を身近においていたということだ。周りの言葉には耳を傾けようとしなくとも、その男のアドバイスだけは真剣に聞き入れる。

イギリスの女王として様々な政策を実現したとしても、民衆から激しい攻撃を受けることがある。作中ではそのあたりビクトリアが非常にナイーブな心をもっているようにも描かれている。幼いころから汚い大人の世界を見てきた女性だけに、心が鉄のようになっているかというとそうでもないらしい。

とにかく、王室の権力争いばかりが印象に残っている。



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