万能鑑定士Q モナ・リザの瞳


 2016.6.7      鑑定描写が秀逸だ 【万能鑑定士Q モナ・リザの瞳】

                     
万能鑑定士Q -モナ・リザの瞳ー スタンダードエディション [ 綾瀬はるか ]

■ヒトコト感想
小説が原作らしい。原作は未読。なんの事前知識もなしに見たが十分楽しめた。まず天才鑑定士の莉子が良い。最初にその能力を示す場面では、映像を交えながら観衆を一発で引き込む魅力がある。莉子はすばらしい観察眼と知識をもち、特別な人間だということがわかる。そこからモナ・リザの鑑定へとつながっていく。

莉子を取材する雑誌記者の小笠原が、効果的に狂言回し役となり、観衆の疑問を小笠原が代弁してくれる。莉子が鑑定のトレーニングを受ける場面と、小笠原がその謎を解き明かす場面が秀逸だ。莉子の鑑定士の能力が低下した時、小笠原がその謎を解き明かす。うまい具合に補完関係が成り立っている。

■ストーリー

驚異的な観察眼と記憶力を持つ“天才鑑定家"凜田莉子(りんだ・りこ)。20歳で「万能鑑定士Q」なる店をオープン、ロジカル・シンキングを駆使して、膨大な知識と驚異的な鑑定眼を武器に、さまざまな依頼品を鑑定。

ある日、ルーヴル美術館から莉子のもとに舞い込んだ依頼。それは、驚異的な鑑定眼で、世界的名画“モナ・リザ"を守ること。莉子に惹かれ、密着取材を続ける雑誌記者・小笠原悠斗と共に、凜田莉子はパリへと向かう――。

■感想
万能鑑定士である莉子がすばらしい。最初に持ち込まれた一枚の写真からすべてを鑑定してしまう。鑑定の場面は映像を交えながら表現されているため、小難しい話もあっさりと理解できる。そこから、音の反響の話となったり、謎の窃盗団の話となったり。

莉子の鑑定能力のすさまじさを表現するにはぴったりのエピソードが序盤から目白押しとなる。雑誌記者の小笠原がうまい具合に莉子に興味を示し、観衆が気になる莉子の秘密などを小笠原が調査する。導入場面としては、これ以上ないほどすばらしい。

中盤以降は莉子の能力がありきたりな探偵のようになっている。細かな部分を観察することにより、その人の本性を探る。ただ、そこまですばらしい観察眼をもっているのであれば、中盤の鑑定テストでのトリックについて、あっさりと見破れそうな気がした。

鑑定能力を鍛えるために選抜された莉子。そこで奇妙なテストを受け、モナ・リザの目の中のアルファベットを見てしまったばかりに、鑑定能力を失うことになる。このあたりのミステリアスな展開は非常に引き込まれる流れだ。

能力を失った莉子を助けたのは、今まで大して役に立たなかった小笠原だ。ここで小笠原がトリックを見破るあたりがかなりインパクトがある。鑑定能力をアップさせるためのテストに大きなトリックが隠されていた。

万能鑑定士であっても、その根本能力を見誤らせることができれば、能力を失ってしまう。ラストの流れはありきたりなアクション映画のように、ハラハラドキドキとする展開となる。まぁ、映画としてはこの流れになるのはしょうがないことなのだろう。

鑑定描写が秀逸だ。



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