バケモノの子


 2016.11.1      バケモノと少年の関係性が秀逸だ 【バケモノの子】

                     


■ヒトコト感想
バケモノ界へ紛れ込んだ少年が、バケモノの熊徹と出会いお互いが成長していく物語。少年九太は親戚に引き取られることを拒み、そこからバケモノ界へと紛れ込んでしまう。ひょんなことから熊徹の弟子となることになり、奇妙な師弟関係が生まれる。九太と熊徹の関係が良い。完全な師匠と弟子の関係ではなく、熊徹は九太がいることにより成長する。

そして、成長した九太は人間界に未練があり、小学生から止まった時間を取り戻すように勉強を始める。ご都合主義的に、人間界を無視するのではなく、久しぶりに人間界に戻った九太が漢字が読めないというのも良い。バケモノ界で一生暮らすのか、それとも…。九太の悩みと熊徹の豪快さが融合した良作だ。

■ストーリー
人間界とバケモノ界がパラレルに存在する世界を舞台に描いた冒険活劇アニメ。ある日、バケモノ界に迷い込んだ人間界の少年はバケモノの熊徹と出会う。その偶然の出会いが、想像を超えた冒険の始まりだった。

■感想
親戚の家に引き取られることを拒否した九太は、バケモノ界に紛れ込むことになる。そこで粗暴でいい加減だが強いバケモノの熊徹と出会う。ひょんなことから熊徹の弟子となる九太。いい加減な熊徹が特に師匠らしいことをしないうちに、九太は自然と熊徹の真似をして学ぶようになる。

熊徹が尊敬できる師匠ではなく、ただの暴れん坊のような雰囲気が良い。ちょくちょく言い合いながらも、熊徹と九太は良いコンビだ。九太と一緒に過ごすうちに熊徹自身も成長していく。この二人の関係が非常に見ていて楽しくなる。

逞しい青年となった九太。そして熊徹は宗士となる戦いへと挑むことになる。九太のおかげで熊徹の教える能力が高いと誤解され、大量の弟子入り希望が殺到する。ここから自立しようとする九太と、いつまでも弟子でいてほしい熊徹の葛藤がある。

人間界へ戻りたい九太と残ってほしい熊徹。まるで子離れできない親のような関係だ。ただ、変に強がりを見せる熊徹がなんだか妙にいじらしく見えてしまう。九太が人間界へ戻ってからの戸惑いもまた、ご都合主義一辺倒ではないのが良い。

結局のところメインは熊徹と九太の関係だろう。ラストでは九太が同じように人間でありながらバケモノ界で生活してきた者と対決するのだが、正直ラストの流れはどうでもよく感じた。重要なのは、熊徹が九太のために協力するという部分だろう。

九太は人間界でも努力し、普通の人間として父親と生活をしようとする。バケモノ界での父親である熊徹を捨てて…。熊徹は決してその悲しさを表現することはない。ただ、強がりを言うだけだ。九太もそれをわかっていながら熊徹に構わない。

熊徹と九太の関係性の物語であることは間違いない。



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