バーティカル・リミット


 2016.8.14      強烈なプロの登山家精神 【バーティカル・リミット】

                     
バーティカル・リミット(’00米)

■ヒトコト感想
標高8000メートルでの救出。K2アタック中にアクシデントから山頂近くで遭難してしまう。雪崩に巻き込まれた仲間を救出することができるのか。山の過酷さがすさまじい。冒頭、いきなりロッククライミング中の事故が発生し、そこで自分の命を犠牲にしてでも仲間を助けるというプロの登山家精神が表現されている。激しい雪山での救助は想像を絶する困難さだ。

次々と起こるアクシデントはハラハラドキドキ、すんでのところで生還したり、または落下したり。仲間を救出するために背中にニトロを背負いながらのクライムはすさまじい。遭難者たちも、生き残るために微妙な駆け引きが生じる。山の壮大な映像と、雪山の困難さがこれでもかと描かれている作品だ。

■ストーリー

標高8,000メートル--。そこは人間の限界を越え、生命の維持が最も困難な<死の領域>。世界最高峰の一つ“K2”を目指すアタック隊に無線が届く。「嵐が発生、ただちに下山せよ!」だが、アタック隊はこれを無視し、雪崩に巻き込まれてしまう。事故現場は悪天候のためヘリすら近づけない。生命が持ちこたえるのに残された時間は22時間!想像を絶する決死の救出作戦が開始された。

■感想
K2を目指すアタック隊が雪崩に巻き込まれ遭難してしまう。助け出すための救出隊は、無事助け出すことはできるのか…。山の厳しさがこれでもかと描かれている。天候を見誤ったために遭難したアタック隊。状況から考えて生存可能時間はあとわずか。

決死の救出隊は危険なニトロを背負い、雪崩を爆破して救出しなければならない。とんでもない状況をどのように打開するのか。物語のテーマとして、プロの登山家は、ドライに生死を考えるというのがある。自分の死で仲間が複数助かるのなら、死をもいとわない。

遭難者たちの緊迫した状況はすさまじい。水分をどのようにしてとるのか。周りが雪だらけならば、飲み水には困らないかと思いきや…。どうやら雪をちゃんと溶かして飲まなければならないらしい。水分が不足すると肺水腫となり数時間で死に至る。

残りの水の量と、抗生物質、そして瀕死の重傷を負った男。三人の遭難者がどのようにして生き残るのか。スケジュールを守り水を消費していくのか、それとも弱った者に薬を与えるのか。この強烈な駆け引きが事態の深刻さを増大させている。

救出隊はかなり危険だ。雪崩を爆破して救出するために背中に爆発物を背負いながら登山を続ける。お決まりどおり、さまざまな困難が待ち受けている。一面雪景色の中で、雪崩の危険におびえながら、どこにいるかわからない遭難者を探し続ける。

時間制限があることが事態をより深刻にしている。3チームに分かれた救出隊は、ひとつは雪崩に巻き込まれ、ひとつは爆発に巻き込まれてしまう。山の危険性と、プロの登山家とはどういうものかが描かれている作品だ。

本作を見ると誰も好き好んで山に登りたいとは思わないだろう。



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