2017.10.25 同僚女性に恋をする女 【アルバート氏の人生】
アルバート氏の人生
評価:3.5
■ヒトコト感想
LGBTシリーズ。ホテルのウェイターとして仕事をするアルバートが実は女で、同僚の女性に恋をする物語だ。客からのチップを溜め、将来店をもつことを夢見るアルバート。小柄で年寄りのアルバートが一生懸命働き、女性に良く思われたいと無理して金を使う姿は心が痛くなる。同じような個性の知り合いができたとしても、慰められるわけではない。
アルバートがあまりに不憫で泣けてくる。同僚の女は若い遊び人の男に熱を上げる。アルバートが何事にも一生懸命でありながら、ラストが報われないというのも悲しすぎる。誰も幸せにはなっておらず、悲しい結末だが、観衆の目を離させない力がある。アルバートの性別を知った者たちの驚きがすべてを物語っている。
■ストーリー
本当の自分は、タキシードの下に隠して生きてきた――。構想30年、大女優グレン・クローズが女優人生をかけて完成させた感動ドラマ。19世紀アイルランド。モリソンズホテルでウェイターとして働くアルバートには、誰にも言えない重大な秘密があった。それは彼が14歳の時からずっと貧しく孤独な生活から逃れるため、男性になりすまして生きてきた女性であるという事実だった…。
■感想
どこからどう見ても見た目は男だが、実は女だった。ホテルでウェイターとして仕事をするアルバートは女ということを隠しながら働いていた。そこに、ペンキ塗りの男がやってくるのだが…。正直、アルバートが女というのはかなりの驚きだ。
さらには、逞しく長身のペンキ塗りも実は女だったという衝撃。女でありながら女性が好きで男の恰好をする。ペンキ塗りが奥さんをもっていることをうらやましく想うアルバート。同僚の女性に恋をするアルバートがなんだか可愛らしく見えた。
客から貰えるチップをコツコツと溜め、店を持ちたいと考えるアルバート。ペンキ塗りに触発され同僚の女性をデートに誘ってみたりもする。この同僚の女性が若く美しい遊び人の男と付き合い、アルバートから金をせしめ取れと命令される。アルバートは同僚の女性と結婚し、一緒に店を始めることを夢見る。
叶わない夢だと観衆は気づいているのだが、真面目で一途なアルバートは女性に言われるがまま、大事に貯めた金を浪費させられている。純朴な男が若い女に騙されるよりも、より憐れみが強いのは、肉体関係をアルバートが求めていないからだろう。
アルバートの秘密が暴露されることはない。結局最後の最後までアルバートは男として人生を全うしたかったのだろう。悲しい終わりであることは間違いない。同僚の女性は妊娠し子供を産むが、男はさっさとアメリカに逃げてしまう。
誰も幸せになってはいないが、最後にペンキ塗りがホテルを訪れ、そこでどのようなことが起きたかをうかがい知ることになる。ただ、そこでもアルバートが実は女だったと暴露されることはない。物悲しさの中に、少しだけ良かったと思える部分だ。
アルバートのマジメな表情はなんとも同情を誘う表情だ。
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