あの夏の子供たち


 2017.3.6      とてつもない悲しみ 【あの夏の子供たち】

                     
評価:3

■ヒトコト感想
映画プロジューサのグレゴワールが資金繰りに行き詰まり自殺する。残された家族たちの混乱と悲しみが描かれている作品だ。冒頭からグレゴワールの尋常ではない忙しさが描かれている。複数の携帯をもち、常に電話をし続ける。家族のたまの休日でも、ひとり家族の輪から離れ携帯片手に電話し続ける。家族を愛してはいるが、会社も大事。

それも資金繰りがギリギリの状態ではどうにもならず、精神的に追い込まれていくグレゴワール。残された家族、特に娘たちの悲しみの映像は強烈に心にくる。なんとか会社を維持しようと必死になるグレゴワールの妻なのだが…。厳しい現実がまっている。なんだか、悲しみに満ちた作品であることは間違いない。

■ストーリー
映画プロデューサーとして精力的に飛び回るグレゴワールは、仕事に情熱を注ぎながらも、家に帰れば妻シルヴィアと3人の娘たちを心から愛する男だった。しかし経営する製作会社ムーン・フィルムが多額の負債を抱え、窮地に追い込まれた彼はある日、自ら命を絶ってしまう。突然の死は、家族と会社に衝撃と絶望を与え、多額の借金と未完成の映画だけが残された。

父の死を受け止めようとする長女、温もりを忘れられないでいる次女、そして死をまだ理解できない幼い末娘。3人の娘を抱えシルヴィアは、傷心の夫を一人にしたことを悔やむも気丈に振る舞い、ムーン・フィルムの建て直しを決意する・・・。

■感想
複数携帯をもちバリバリと働く映画プロデューサー。颯爽と事務所に現れ、指示をだし忙しそうにどこかにでかけていく。できる映画プロデューサーのイメージそのままに、グレゴワールは仕事人間ではある。家族から少しは携帯を手放せと言われたりもする。

実はグレゴワールの会社は莫大な負債を抱えており、いつ潰れてもおかしくない状態となる。そのため、グレゴワールは資金繰りに必死になっていた。そんなグレゴワールの気持ちを和ませてくれるのは三人の娘と妻だった。

グレゴワールの八方ふさがり具合が次第に明らかとなる。そして、悩みに悩んだグレゴワールは…。非常に悲しい手段を選んでしまう。悲しむ家族たち。グレゴワールが亡きあと、会社を立て直そうと奔走するのは妻のシルヴィアだ。残された家族の悲しみ具合はすさまじい。

特に幼い娘が悲しむ姿は非常に心にくる。こんな状況に陥っていたと知るのはグレゴワールが死んだあと。シルヴィアと仲間たちが必死になるのだが、そううまくことは運ばない。経営者の孤独というか、強烈な孤独感に耐えられない者が死んでいくのだろう。

子供を持つ親ならば、何かしら感じることがあるだろう。父親として表面上は悩みを見せることなく普通に過ごす。が、心の奥底では追い詰められていた。残された家族たちがどのような行動にでるのか。そして、無理なものは無理で、家族たちが父親の思い出の残る町から出ていく場面は涙を誘われてしまう。

子供は父親の思い出をどこかで一生覚えているのだろう。グレゴワールが忙しい最中に、子供たちと川へ行き一緒に泳ぐシーンが無性に悲しく思えてならない。

父親が自殺するというのは、子供たちにとって、とてつもなく辛いことだ。



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