アンナ・カレーニナ


 2017.7.6      不倫がタブーの時代の恋 【アンナ・カレーニナ】

                     
アンナ・カレーニナ 【Blu-ray】 [ キーラ・ナイトレイ ]
評価:3

■ヒトコト感想
ロシアの文豪トルストイ原作の映画化。すでに何度も映画化されている作品ではあるが、初めて見た。女の不倫が許されない時代に愛を貫いたアンナの生涯が描かれている。アンナとその夫カレーニンの冷え切った関係と、アンナの不倫に気づいたとしても決してアンナと離婚しないカレーニン。自分の幸せよりも、相手を不幸にすることを考えているような流れだ。

目の前には不幸しか見えていないにも関わらず、ヴロンスキーとの愛をとったアンナ。それと対比する形で、一途な思いと農業にせいをだし幸せな生活を送る男もいる。アンナが不幸になるのは目に見えている。不倫を絶対的に否定しているようには見えないところがポイントかもしれない。

■ストーリー
時代を駆け抜けた一人の女性の、美しくも激しい愛の物語。 19世紀末、帝政末期を迎えているロシア。サンクトペテルブルク社交界の華と謳われる美貌の持ち主アンナ・カレーニナ(キーラ・ナイトレイ)は、政府高官を務める夫カレーニン(ジュード・ロウ)に愛情を持てずにいた。

モスクワへ向かう中、騎兵将校のヴロンスキー(アーロン・テイラー=ジョンソン)と出会う。一瞬で互いに惹かれあったふたりは恋に落ち、舞踏会で再会したときには燃えさかる情熱を止めることができなくなっていた。アンナは社交界も家庭も捨てヴロンスキーとの愛に身を投じるが、それは同時に破滅へと向かうことになっていく…。

■感想
政府高官の夫と幸せな生活を送っていたアンナが、将校のヴロンスキーと出会い恋に落ちる。女の不倫がご法度の時代に、夫にばれたとしても不倫を続けるアンナ。ここで夫のカレーニンが離婚を選択せず、ひたすらアンナを飼い殺しにする。

体面もあるのだろうが、離婚できないことがアンナを苦しめる。アンナがあからさまにヴロンスキーへの愛を隠すことなく、家にまで呼ぶ。カレーニンの怒りが頂点に達しアンナがヴロンスキーと会えなくなると、途端にアンナは病気になってしまう。

客観的に見ると、アンナはかなり身勝手に見える。男の不倫は許され、女の不倫は糾弾される時代というのもあるが、アンナの身勝手さは時代に合っていない。すべてを犠牲にしてでもヴロンスキーを愛すと誓ったはずが、ほころびは見えてくる。

社交界で排除され続けるアンナとヴロンスキー。それに耐えきれなくなるヴロンスキー。もはやふたりに明るい未来はない。悲観したアンナが最後にとる手段は…。悲劇的な物語として、予想できる結末だ。

本作ではアンナと対比するように、ひとりの男が描かれている。フラれても一途に愛を貫く。ヴロンスキーからの求愛を待つ女は、やがて身の丈にあった男を選ぶ。そこで、男は農業にいそしみ、女と幸せな生活を送る。一途な愛と、華やかな世界からの離脱

最終的に幸せなのはどちらなのか。華やかな世界に入り込み、様々な障害がありながら愛に生きる。その結末としては、非常に厳しいものとなっている。不倫はダメだよ、という安易な教訓ものではない。

アンナの結末はわかっていたことだが、悲しすぎる。



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