アジャストメント


 2016.1.13      人の運命を調整する男たち 【アジャストメント】

                     


■ヒトコト感想

この世界は運命調整局の男たちに、巧みに操作されているという物語。若手政治家のデヴィッドが運命調整局の男にコーヒーをこぼされ、バスに乗り遅れエリースと出会うことなく政治家人生を送るはずが…。運命調整局という発想が面白い。人の運命を正しく導くために、ちょっとした操作をして微調整する。それは本人が気づかないところで行われている。

日常に起こるちょっとした出来事は、もしかしたら運命調整局に調整された結果なのかもしれない。と思わせる魅力がある。設定は良い。そして、ハットを被った男たちが突如現れ、何事か邪魔をする。すべての真実を告げられたデヴィッドだが、エリースが忘れられずに、運命に逆らおうとする。設定の面白さで物語を引っ張っている。

■ストーリー

将来有望な若手政治家デヴィッド(マット・デイモン)は、ある日エリース(エミリー・ブラント)という美しいバレリーナと"運命的"に出逢い、一目惚れする。しかし次の瞬間、突如現れた"アジャストメント・ビューロー(運命調整局)"と呼ばれる男たちによって、デヴィッドは拉致されてしまう。彼らの目的は、本来"恋に落ちる予定ではなかった"デヴィッドとエリースを引き離し、"運命の書"に記述された運命に従わせること。

混乱するデヴィッドに突きつけられたのは、「この世のすべての運命は、ビューローが既に決めた運命から悦脱しないよう常にモニターされ、操作されている」という、信じ難い現実の"裏側"だった。超人的な能力で運命を操作する彼らに対し、必死の抵抗を試みるデヴィッド。やがて、ビューローの真の目的に気づいたとき、彼が手にする本当の運命とは?

■感想
運命を調整する者たちがこの世には存在しており、彼らの調整が世の中を適切に動かしている。なんとも夢があるというか、不思議な設定の物語だ。現実に起こるちょっとしたアクシデント。電車が遅れたり、鍵を忘れたり注文した料理がなかなかこなかったり。

これらは運命調整局の者が暗躍し、何かを調整しようとしているらしい。若手政治家のデヴィッドは、運命調整局員によりコーヒーをこぼされ、それによってバスに乗り遅れ過去に偶然出会ったエリースとは再会できないはずだった。それが、偶然の要素により再会することになる。

デヴィッドとエリースは出会ってはならない存在らしい。このあたり、ふたりが出会い、くっつくことでどのような不具合があるのか序盤では説明されない。後半に明かされるのかと思いきや、それもない。デヴィッドがのちに政治の世界で大成するために、エリースは邪魔者でしかないという流れなのだろう。

運命を告げられたとしても、臆することなくエリースに再会しようとするデヴィッド。運命調整局との対立は無謀なように思えるが、局内にデヴィッドに協力する人物が現れたことで、事態に大きな変化がおとずれることになる。

もっと壮大な運命のいたずら的何かがあるのかと思いきや、最初から最後までデヴィッドとエリースの関係に終始している。デヴィッドの政治的立場やエリースのダンサーとしての道のりなど、運命に局が露骨に介入しているという流れは感じられなかった。

人の運命を調整する役目の者たちが、万能な能力を持っているのだが、あっさりとデヴィッドに出し抜かれるあたり、局の絶対的な能力に疑問が見えてくる。局の監視を乗り越えてデヴィッドがエリースと再会するのだが…。運命を裏切ってまで求めた出会いの結末はどうなるのか。

設定は面白いが、思ったほど広がりはなかった。



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