MAD探偵 7人の容疑者


 2016.2.24      耳を切りとり手渡す 【MAD探偵 7人の容疑者】

                     
MAD探偵 7人の容疑者

■ヒトコト感想
人の人格を映像として見ることができるバン刑事。犯罪者と同じ行動をとることで、犯罪者の心理を理解し犯人を逮捕する。かなり異常な行動の数々だが結果をだす。バン刑事の極めつけの行動は、異動する上司に自分の耳を切りとって手渡したことだ。退職したバンに事件の協力を依頼するホー刑事。バンの異常ぶりが際立っている。

そして、対象者の人格を見ることができるというのは、すぐには気づかない。容疑者であるコウ刑事を見ると、そこには7人もの人物がいた。それぞれの人物すべてにキャラ付されているわけではない。が、臆病なデブや切れ者の女性、そして暴力的な男など、一部のキャラは、はっきりしている。バンの異常ぶりが本作のすべてだろう。

■ストーリー

張り込み中の刑事が失踪。彼の所持していた拳銃により、連続強盗事件が発生する。暗礁に乗り上げた事件の解明に、特別重犯罪捜査班のホー刑事は、元刑事バンへ協力を要請する。被害者と同じ状況に身を置くことで、様々な事件を解決させてきた半面、数々の奇行が原因で、すでに刑事の職を失っていたバン。

二人は、行方不明になった刑事の同僚コウ刑事の身辺を調べ始める。表向きの表情とは異なる裏の人格、思考を見通すバンは、コウ刑事の恐るべき異常性にすぐさま気づくのだった・・・

■感想
バン刑事の協力を仰いだホー。バンの異常さを目の当たりにすると、明らかに後悔したような表情をする。まるで妻がすぐ近くにいるようにふるまうバン。バンの奇行に慣れた人々は、バンの言動に合せたりもする。バンが見る他者の人格が強烈に面白い。

捜査本部のお偉いさんは、口では歓迎しながらも、実はおばさんが口汚くののしっている。バンへ依頼したホーは、事件が佳境に入ると、おびえた少年になる。そこにどのような意味があるかは、物語の最後に判明することになる。

ホーはまっとうな刑事ではあるが、バンの奇行をもてあましている感がある。バンが犯人の思考を追うために森の中へ入り込み、犠牲者と同様に地面に埋められようとする。そこから始まるバンの思考には圧倒されてしまう。

まるで容疑者の行動をトレースするようにすべてを見てしまう。なぜ、バンにそのような能力が備わったのかの説明はない。特徴的な表情で言葉少なに行動する。鬼気迫る表情は、他者の意見や忠告を跳ねのける力がある。

バンとホーと容疑者のコウ刑事。バンとコウは真反対のことを言う。そして、迷うホー。普通に考えるとバンの異常性を見せられれば、普通はコウ刑事の方を信じるだろう。結末ではそのあたりの葛藤が強烈に描かれている。主人公のバンのキャラクターが強烈すぎて、他の要素を吹き飛ばしている。

他者の人格が映像として見えるというのは面白いのだが、コウの7人の人格それぞれにもう少し説明があってもよかった気がした。結局のところ、食いしん坊なデブと頭脳明晰な女性と暴力的な男しか説明されていない。

独特な雰囲気をもつ作品であることは間違いない。



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