2014.9.4 親のエゴで生かされる子ども 【私の中のあなた】 HOME
評価:3
■ヒトコト感想
白血病の姉を救うために、姉のドナーとして生まれてきたアナ。自分の体を提供することに抵抗を覚えたアナは、両親を訴えることになる…。ケイトに生きてほしいと、誰もが思う反面、アナの人権はないのかという葛藤がある。が、11歳の子供が自分から、「チアリーディングをしたいから肝臓の提供をやめる」と言うだろうか。多少の違和感をもったが、ケイトの衝撃的な病状が描かれると、思わず見入ってしまう。
若くして助かる見込みのないガンに犯されると、周りのケアではおいつかない場合がある。ケイトが死にたいと思うのは当然だろう。同じ白血病患者の恋人が死んだ時、その願望は最高潮に達する。ラストはある程度予定調和的な流れとなる。が、親のエゴで生かされる子供の苦悩ととらえるのか、それとも強い家族愛ととらえるのか、かなり難しい。
■ストーリー
アナ、11歳。白血病の姉・ケイトを救うために、ドナーとして“創られて”生まれてきた。ケイトに生きて欲しい―その想いは、家族みんな同じだと疑わなかった母・サラは、ある日信じられない知らせを受ける。「もう、姉のために手術を受けるのは嫌。
自分の体は、自分で守りたい」とアナが両親を訴えたのだ。病気と闘いながらも幸せだった家族に訪れた、突然の出来事。いったい何故、アナは突然大好きな姉を救うことをやめる決意をしたのか?その決断の裏には、驚くべき真実が隠されていた―。
■感想
生まれた時から白血病に苦しむケイト。その姿が描かれると、悲しくなるとともに、健康に生まれてきた自分を誇らしく思ってしまう。治療薬の副作用で髪の毛が抜けおち、ボロボロの肌でただベッドの上に眠っているだけ。そんな強烈な状態が改善する微かな希望がある。
それは、妹のアナがドナーとして臓器を提供することだ。最初から、ケイトを生かすためにアナが生まれてきたような描写がある。これが、かなり曲者だ。偶然アナにその適正があったのであれば、まだ理解できるが、最初からドナー前提ということが強烈すぎる。
11歳のアナが自分で弁護士を雇い、両親を訴える。両親としては、とんでもない裏切りと感じることだろう。姉を助けたくないのか。自己中心的なアナに怒りさえおぼえる母親。どちらが正しいとは言えないが、ケイトを生かすことを生きがいのように感じる母親には共感できない。
ただ、いざ、自分が親の立場になったとしたら、最後まであきらめず治療を続け、少しでも生きる望みがあるのなら、そこに全力でとりくみたいと思うは当然の親心だろう。母親であるサラを無条件に非難することはできない。
裁判では衝撃的事実が明らかとなる。アナが裁判を起こした理由は、涙なくしてみることができない。そして、最後には死んでいくケイト。思い出を写真と共にノートにまとめるシーンは泣けてくる。これはあきらかな泣きポイントだ。ケイトが死ぬことにより、家族の考え方も変わってくる。
身近な人の死は周りを大きく変えるのだろう。ハッピーエンドと言えるのかもしれない。ただ、衝撃度で言えば、やはり原作のラストの方が衝撃だろう。本作は、家族の関係をメインに、希望のもてるラストにしたという感じだ。
泣きポイントは多数ある。
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