私の嫌いな探偵 


 2014.5.15     ドラマの影響はでかい 【私の嫌いな探偵】  HOME

                     

評価:3

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■ヒトコト感想

鵜飼探偵シリーズ。世間では烏賊川市シリーズと呼ばれている本作。短編となると、よりくだらなさがパワーアップしているような気がする。同タイトルでドラマ化されたこともあり、注目をあびたとは思うが、ドラマから本作に入ると、結構辛いかもしれない。自分の中では割と耐性があったので、ミステリー的な部分よりも、マニアックなネタを楽しむことで物語に入り込むことができた。

ドラマ化されたことで、頭の中でキャラはドラマの配役となっている。原作とドラマで鵜飼のキャラがまるっきり違うのはご愛嬌だが、それなりに楽しめることは間違いない。マニアックなネタが盛りだくさんな本作。パロディも、元ネタを知らなければ楽しめないように、それなりの事前知識は必要だ。

■ストーリー

うら若き美貌のビルオーナー、二宮朱美。二十代半ばにして、ビルの最上階に住まい、家賃収入で優雅に日々を送っている…はずが、なぜか、気がつけば奇妙なトラブルに振り回されてばかり。それもこれも、階下に入居している「鵜飼杜夫探偵事務所」がいけないのだ!今日もまた、探偵事務所を根底から揺るがす大事件が巻き起こる。

■感想
「死に至る全力疾走の謎」は、壁に全力で衝突した男の姿があった。ミステリーというより、壁に全速力で衝突するような状況はどんな状況なのか?という部分に興味がある。そして、謎の答えはそれなりに示されているのだが…。かなり大掛かりな物語だ。

ミステリアスな状況を、鵜飼が適当なウンチクを述べながら解決する。トリックが解明されたとしても、頭にその状況を思い浮かべるのは難しい。壁にスピードを緩めずにダッシュしながら突っ込むなんて、恐ろしいことこの上ない。

「204号室は燃えているか?」は、原作よりも先にドラマを見たので、印象はまた違ってくる。全体的に言えることだが、映像化した方がトリックはわかりやすい。ある部屋で男が殺されていた。向かいの空き家から監視していたのは鵜飼たちなのだが…。

それなりに練り込まれたトリックだが、合間にはさまれるマニアックな野球ネタに、思わずニヤリとしてしまう。作者の知識と自分の知識がリンクした時の楽しさはすさまじい。ハードルは高いかもしれないが、30代の野球好きならば楽しめるだろう。

ドラマの影響はでかい。読みながら、鵜飼は玉木宏となり、朱美は剛力彩芽となる。若干ふたりともイメージと違っていたが、やはり映像の力で違和感なくあてはめてしまう。鵜飼のキャラが金に執着があり、美女に弱いというステレオタイプな探偵に成り下がっていたのが気になったが、本作を読む上ではあまり関係ないだろう。

シリーズとして、短編ということで、ひとつひとつのトリックはどうしても小粒になってしまう。そのため、サラリと読めるが大きな衝撃を受けることはない。

ドラマを見て本作を読むと、若干辛いかもしれない。



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