藁の楯


 2014.6.18     クズの命は10億 【藁の楯】  HOME

                     
評価:3

■ヒトコト感想
人間のクズであろうと、守らなければならない。SPと刑事が自分の使命をまっとうするため、奮闘する物語。冒頭から清丸を殺した者には10億円が手に入るという強烈な展開から始まり、金ほしさに様々な人物が清丸を殺しにやってくる。恐ろしいのは、どれほど強固に守りを固めたとしても、警察内部にも金ほしさに清丸を殺そうとする者が存在するということだ。

福岡から東京まで、清丸を無事に送り届けることができるのか。人間のクズを守る価値があるのか。様々な葛藤と、仲間の犠牲により悩み苦しむSP。清丸が、これ以上ないほど人間のクズであり、移送中であってもそのクズっぷりがすさまじく表現されている。観衆さえも巻き込むクズ演技のすばらしさに圧倒されてしまう。

■ストーリー

「この男を殺してください。御礼に10億円差し上げます。」前代未聞の新聞全面広告に、日本中が揺れた! 広告主は巨額の資産を持つ財界の大物・蜷川。幼い 孫娘を惨殺した男、清丸の首に懸賞金を懸けたのだった。命の危険を感じた清丸は、潜伏先の福岡で出頭する。全国民の殺意が向けられる中、48時間以内に清 丸の身柄を警視庁に移送するため、5人のSPと刑事が選ばれた。護衛対象は“人間のクズ"。

■感想
誰もが憎む人間のクズを守る必要があるのか。ひと思いに、見て見ぬふりをすれば、クズはあっさりと殺されてしまう。命をかけてまでクズを守る必要があるのか。物語は終始この問いかけがまとわりつく。クズを守るために、仲間の刑事が犠牲となる。

まっとうな人間が、10億という金に目がくらみクズを殺そうとやってくる。中には同情すべき人物もいる。いくら自分の使命とはいえ、心のどこかで、クズが死んでくれれば良いと思っていたはずだ。それらの葛藤を役者たちが熱演している。

福岡から東京へ移送するにあたり、とてつもない恐怖がある。それは清丸サイトに感化され、清丸を殺そうとやってくる刺客たちの存在だ。10億に目がくらみ、自分の人生を棒にふっても10億を手に入れようとする。10億の条件が、清丸を殺害し、その後有罪となる、というのが特殊だ。

必ず清丸殺しの罪を償わなければならない。唯一の例外が、国家の力、すなわち警察による清丸殺害だ。たくみな条件により清丸殺害の刺客があらゆる場所からせまりくる。看護婦や警察までもが刺客となると、この恐怖の流れを止めることはできない。

人間のクズのため、犠牲になる刑事たち。孫娘を殺された男の異常な執念。全体を通して、ずいぶんと綺麗ごとに思えてしまう。大金がもらえるという条件がなかったとしても、クズのために命をかけるというのは、美しすぎる。お決まりどおり、仲間が次々とやられていく。

清丸のクズさと、SPの綺麗ごとを並べる部分が、相反するようで同じレベルでの違和感を感じてしまう。中盤までの何が起こるかわからない恐怖から、後半へ向かうお決まりの展開には、少し退屈に感じてしまう。

日本中、誰もが刺客となりえる状況は恐ろしい。



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
pakusaou*yahoo.co.jp