2014.11.23 感じる宗教的雰囲気 【ツリー・オブ・ライフ】 HOME
評価:3
■ヒトコト感想
生命の神秘というか、哲学的というか、見る人によってどう感じるかが大きく変わる作品だ。地球の誕生から恐竜の時代を経て、現在に至る。まるで地球のすばらしさをアピールするような映像の数々。宇宙の神秘にまで範囲を広げ、本編とは関係ないと思われる不思議な映像が連続する。厳しい父親に育てられた息子が成長し、事業で成功したのち、過去を回想する。
母親との関係や、厳しく勝つことを要求してくる父親。この物語と、地球誕生の神秘的映像はどのような繋がりがあるのか。内容が内容だけに、宗教的な雰囲気すら感じてしまう。母親に恋をし、父親と母親を取り合う。最後には、成長した息子が、当時の父親と肩を組んで歩いたりと、自己啓発的な匂いすら感じてしまう。
■ストーリー
1950年代のアメリカ・テキサスを舞台に、3人兄弟と厳格な父親との関わり合いを軸に、家族の姿と生命の連鎖が、美しい映像と音楽で紡がれていく。「力こそが成功の道」だと信じる強権的な父親役をブラッド・ピットが、成人し父親との確執の意味をたどる息子ジャックをショーン・ペンが演じ、共に繊細な表現力を発揮している。
■感想
見る人によって、大きく感じ方が変わる作品だ。宇宙の神秘の映像は、確かに見たことのない強烈なインパクトがある。が、それを何の脈略もなく突然見せられても混乱するばかりだ。映像としての美しさと、ストーリーは別物。厳しい父親の、行き過ぎた厳しさを表現したかと思うと、緑あふれる地球の映像が全面に押し出されている。
子供から見た父親の影響というのは、それなりに大きいのは間違いない。そして、その先に母親を取り合うというのは、どうにも宗教的なイメージを感じてならなかった。厳しい父親だからこそ、生まれる反発を表現したかったのだろうか。
息子であるジャックが成長し成功する。その時感じるのが、厳しい父親への感謝なのか、それとも恨みなのか。家族の在り方の物語であることは間違いない。それでも、火山が噴火し、マグマが吹出す映像や、海の底でうごめく神秘的な生命。
果ては大自然に突如登場してくる恐竜。ここにどういった意味があるのか。恐竜も、首長竜やそれ以外の恐竜など多種多様だ。厳しすぎるブラピ演じる父親は強烈だが、それと恐竜などがどう繋がるのか。宗教的雰囲気を感じずにはいられない。
子供の教育に厳しく、妻にも厳しく、そして勝ち組になることをひたすら目指す父親。子供たちが反発するのは、父親の横暴に対してだ。母親に対しては愛しい気持ちを持つ。いびつなようにも感じてしまう家族関係だが、父親が仕事でうまくいかなくなってから、大きな変化が待っている。
成長したジャックは、父親に憎しみを持ったのか、それとも感謝の気持ちなのか。ラストは、大人のジャックが当時のままの父親や母親、そして兄弟たちと海岸を歩くという、よくわからないエンディングとなっている。
ラストの流れであれば、どうしても宗教色の強さを感じてしまう。
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