東京騎士団 


 2014.7.8     得体の知れない若者エリート組織 【東京騎士団】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
若き実業家の鷹野が、謎の組織「超十字軍」と対決する。面白さのポイントは、超十字軍が全世界に進出しており、さらにはエリートの若者たちにより組織されている部分だ。組織力を支えるのはエリートだけでなく武闘派であることも大きい。暴走族の集団を丸ごと武闘派の兵士として育て上げ、戦力とする。

すべてを牛耳る世界的組織に、ひとり対向する鷹野は無謀としか思えない。登場するのは、極端にドロップアウトした武闘派兵士かエリートしかいない。鷹野が奮闘する姿と、果てしなく巨大な組織をワクワクしながら楽しめる。ただ、組織のトップは想像どおりの人物であり、組織の思想の必然性があまり伝わってこなかった。

■ストーリー

鷹野達也、二十五歳。若手の凄腕実業家。企業を分析し、情報を提供するのが仕事だ。友人の新進プロゴルファー・貝塚が襲われ、彼の恋人・秀子が拉致された。監禁場所へ乗り込んだ鷹野は、世界制覇をもくろむ若きエリート集団「超十字軍」の存在を知る。超十字軍からの勧誘を断った鷹野への報復は、貝塚と秀子の殺害だった。友人を殺され、怒りに燃える鷹野の凄惨な復讐劇が始まる。

■感想
世界制覇をもくろむ超十字軍。仲間を殺された恨みで超十字軍と対決する鷹野の奮闘が描かれる。序盤から超十字軍は怪しげで、想像を絶する規模の組織だという刷り込みがあり、どれほど強烈な組織かという興味がわいてくる。

それに対決を挑む鷹野の無謀さもさることながら、物語全体を覆う選民意識をすさまじく感じてしまう。鷹野がエリートなため、その周りには能力の高い者たちばかりがそろう。相対する超十字軍は当然エリートぞろいのため、常にセレブ感が漂っている。

超十字軍はエリートだけでなく、アウトローも兵隊として手名づけている。凶暴で有名な族のメンバー全員が突然姿を消した。実は超十字軍のメンバーとなっていた。暴力的な族をどのようにして統制のとれた兵士としたのか。人に指図されることを嫌う人種をどのようにして従えているのか。

なぜか、きっちりと兵士として出来上がった凶暴な元暴走族たち。そこに至る過程は描かれていない。超十字軍の思想のすばらしさに族が共感したとは思えない。そのあたり、超十字軍はすごいから、で済まされるのは都合がよすぎると感じてしまった。

超十字軍の中枢へと乗り込む鷹野。中盤まで、あれほどしつこく世界規模で手をだせないと説明しておきながら、あっさりと中枢へたどり着く。超十字軍の目的や姿がわからない状況が最も不可解で恐ろしかった。その全容が明らかになると、とたんに現実的になる。

若者エリートのネットワークの巨大さも、それほど表現されていない。登場人物たちがひたすら恐れることで、対象を巨大に感じさせているこの手法は、実態ではすごさをあまり表現できていない気がした。それは、超十字軍の黒幕についても、想像通りだったことが原因かもしれない。

巨大組織のすごさは、物語が進むにつれトーンダウンしていった。



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