2014.3.4 オールドテニスファン必読 【テニスボーイ・アラウンド・ザ・ワールド】 HOME
評価:3
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■ヒトコト感想
オールドテニスファンにはたまらない。と言っても80年代のテニスプレイヤーに詳しいとしたら、40代だろう。自分は年代的にははずれているが、テニス好きというのと、80年代の有名プレイヤーであれば名前とプレイスタイルだけはなんとなくわかっている。実際のプレイを目にしたわけではないが、ゲームなどの影響だろう。
マッケンローやレンドル、エドバーグにベッカーなど、このあたりはテニスファンならば聞いたことがあるだろう。テニス好きの作者が世界を周り、テニスの試合を見て感想を述べる。作者の好みが全開であり、好みに合わないプレイヤーをこき下ろしている。中でも全盛期で無敵の強さを誇っていたレンドルのことをレン助とこき下ろす。さすがだ。
■ストーリー
権威と伝統のウィンブルドン、ビッグビジネス化した男子テニスを目の当たりにさせたニューヨーク・マスターズ、世界で最もシックなパリ・フレンチオープン、マルチナを生んだプラハ・フェデレーションカップなど、テニスボーイ・ムラカミリュウがエッセイと写真で追いかける’85―’87ワールド・ツアー観戦記。
■感想
時代を感じるのは、自分がテニスを見始めた時にはすでにベテランプレイヤーだったグラフが、本作では16歳の新人として登場するところだ。グラフとナブラチロワの対決。強烈なインパクトがあるのは、プレイスタイルがやはり今とは全然違うということころだ。
時代により流行りすたりがあるのだろう。昔に比べ技術も肉体も進化したので、一概に比べられないが、作者の感想を通してプレイの違いを感じることができる。今では当たり前のオールラウンドプレイヤーが当時は珍しかったというのには驚いた。
マッケンローやレンドルが全盛の時代。レンドルのテニスは強いが面白くないとこき下ろす作者。どのようなプレイスタイルか想像するしかないが、華はなかったのだろう。対して作者がべた褒めするのがルコントというプレイヤーだ。
正直ルコントは知らない。名前も聞いたことがない。が、作者の目から見たルコントのプレイは確かに魅力的だ。天才肌で調子が良いときは誰も手がつけられない。が、なんでもない凡ミスをしたかと思うと、格下にあっさり負けてしまう。そんなムラッけも天才プレイヤーにぴたりと当てはまる流れだ。
テニス観戦だけでなく、その土地で作者らしいはじけた遊びをする。若くして成功した者の遊びとしてイメージする典型的な行動をする作者。単純なテニス観戦記でないことが良い。薬物でトリップし、クラブで踊り明かす。
そこには自由な空気があふれ、アメリカ文化に極度に影響をうけた男のはじけっぷりが描かれている。昔のテニスプレイヤーもそうだが、ノスタルジーを感じる描写が多々ある。もしかしたら40代のオールドテニスファンにはたまらない作品なのかもしれない。
名前が登場し、思わず「いたいた」と叫んでしまう選手もいる。
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