2014.2.18 スズメバチ対策? 【雀蜂】 HOME
評価:3
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■ヒトコト感想
スズメバチの恐怖を描いた作品。山荘で目覚めると、スズメバチに襲われる。普通に考えても恐ろしいことだが、アレルギーのため、一刺しされると生命に危険が生じる場合の恐怖はひとしおだろう。周りに民家のない11月の山荘で、どのようにしてスズメバチの攻撃から身を守るのか。
作中では実例を交えながら、スズメバチの脅威から身を守る手段が描かれている。が、そもそものミステリーの部分がいまいちなので、スズメバチの恐怖があまり伝わってこない。なぜこれほどスズメバチに襲われるのか?という疑問はあるにせよ、その先には、驚くような結末はない。スズメバチ嫌いな人は読まない方がよいだろう。
■ストーリー
11月下旬の八ヶ岳。山荘で目醒めた小説家の安斎が見たものは、次々と襲ってくるスズメバチの大群だった。昔ハチに刺された安斎は、もう一度刺されると命の保証はない。逃げようにも外は吹雪。通信機器も使えず、一緒にいた妻は忽然と姿を消していた。これは妻が自分を殺すために仕組んだ罠なのか。安斎とハチとの壮絶な死闘が始まった―。最後明らかになる驚愕の真実。
■感想
通信手段が途絶えた11月の山荘で、なぜかスズメバチに襲われる男。バスルームに逃げ込み、バルサンを焚き、ガレージに逃げ込む。それでも小さな換気口から入り込むハチの脅威から逃れることはできない。巨大なスズメバチは、その黄色と黒の見た目からして恐ろしい。
グロテスクであり攻撃的であるため、人に恐怖を植え付けるにはうってつけの昆虫だ。そんなスズメバチの大群に襲われたとしたら、誰でも恐ろしさのあまり逃げ出すことだろう。本作では逃げ場のない状況から、どうにかしてスズメバチと闘う方法を模索している。
単純に考えれば逃げるべきだろう。それができない状況であれば戦うしかない。作中ではスズメバチと闘う様々な方法が検討されている。身を守る方法やスズメバチの習性を利用した罠。限られた身近な道具で、どのようにしてスズメバチと闘うのか。
知識として勉強にはなったが、そこに爽快感はない。みじめで情けない姿ばかりが印象に残っている。何の防御手段も持たない人間は、まともにスズメバチの大群と相対するべきではない。作中の描写を読むと、再認識した。
ミステリー的なオチは微妙だ。なぜ男は山荘でスズメバチに襲われるに至ったのか。妻の策略なのか、不倫相手の罠なのか。はたまたすべては妄想なのか。その答えは最後に用意されているのだが…。主人公がホラー作家というのも、作者を連想させるようでよい。が、オチはなんだかインパクト不足だ。
結局のところ、スズメバチに襲われる印象ばかりであり、オチについて特別な印象はない。良くあるパターンと言えばそうだが、スズメバチに襲われることが作品としては新しいのだろうか。
物語の6割はスズメバチとの戦いだ。
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