生存者、1名 


 2014.5.19     生存者の正体は? 【生存者、1名】  HOME

                     

評価:3

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■ヒトコト感想

カルト教団のメンバーがテロを起こし、逃亡のためある無人島へやってきた。周囲から隔離された無人島で生活する男女五人。お決まり通り、島から脱出不可能な状態となり、食料の問題や仲間割れが始まる。一人死に、二人死に、誰が殺したのか?それとも島に何者かがいるのか?疑心暗鬼と状況証拠からミステリーの定番的な流れとなる。

最終的には二人が残り、どちらが犯人なのか、それとも…。ある程度世相を反映しているのか、人は過酷な状況へ追い込まれた際に、何をよりどころにして生きる気力を生み出すのか。タイトルにある生存者というのが、まさに意外な生存者だ。恐らく、このオチを描きたいがための作品なのだろう。

■ストーリー

鹿児島の遙か沖の孤島、屍島に六人の男女が降り立った。彼らは都内で爆弾テロを行なった四人の実行犯と二人の幹部だった。翌日、幹部の一人が船とともに姿を消し、残りの五人は文字通り絶海の孤島に閉じ込められた!組織に対する疑心と、食料をめぐる仲間同士の暗鬼。やがて、一人また一人と殺されていく…。犯人は誰か?そして、最後に生き残る者は。

■感想
爆弾テロ犯が逃亡するために無人島へ行き、そこで事件が起こる。定番的だが、無人島から脱出できない状況となり、食糧の問題が発生し、いさかいが起こる。そして、第一の殺人から疑心暗鬼が始まる。裏切りや抜け駆け。一度裏切られた者たちは、神経質になる。

それほど長い作品ではないので、それぞれのキャラにそこまで個性はでていない。男3人と女2人。男女の問題や、無人島という閉鎖された空間での駆け引き。ミステリーを構築しやすい材料はそろっている。

あるひとりの人物が殺されたのち、疑心暗鬼となる。次々と殺される仲間たち。無人島には5人以外は存在しないという前提すら崩しかねないような流れがあり、読者の予想を混乱させている。爆弾テロを起こした負い目から、気軽に外部に助けを求めることはできない。

誰が殺人鬼かわからないまま、無人島に残るのか、それとも危険を承知で筏で逃げ出すのか。ラストまで犯人はわからない。そして、その動機もわからない。タイトルの生存者1名というのが、すべてを物語っている。

無人島の生存者は意外な人物だ。恐らく誰も想像できないだろう。終盤で、ネタばらしされると、意味がわかるのだが、そこからさらに強烈な二択が待っている。最後の一行で生存者の正体がわかる。厳密に考えると、生存できたことに不自然さを感じてしまうが、細かく考えるべきではないだろう。

無人島、限られた食料、男女関係、すべてを総合して考えると、自然と答えは導き出されてくる。それなりに伏線も用意されているので、細かく読み込むことで、トリックに気づくかもしれない。

タイトルの人物をさぐる物語だ。



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