リターン・トゥ・マイ・ラヴ


 2014.5.17     ダメ人間再生物語? 【リターン・トゥ・マイ・ラヴ】  HOME

                     
評価:3

■ヒトコト感想
都会でひと旗上げようと家を飛び出した若者が、夢破れ田舎へ逃げ帰った後の物語。ジムは生まれ故郷に帰り希望を失ったまま、何もかもやる気がおきない。挫折した若者にありがちな雰囲気であり、自分のふがいなさを他人に当たることでしか解消できない。過保護な母親と、同じくダメ人間な兄。ジムの環境は決して良いとは言えないが、何よりジム自身に問題がある。

生きている意味がないとすら考えるジム。ジムの無軌道さは目に表れている。そのままダメ人間の道を突き進むのかそれとも…。人が変わるきっかけというのはわからない。本作としては、ダメ人間が出来上がるプロセスが秀逸なのは間違いない。そこから立ち直るきっかけは、安易すぎるような気がした。

■ストーリー

ニューヨークでの生活に失敗した青年・ジムは、生まれ故郷の町に戻って来る。希望を失い、人生の展望が見出せずにいる彼の前に、女手ひとつで息子を育てる看護師のアニカが現れ…。

■感想
都会に出ればなんとかなるのではないか?という根拠のない夢を持つ若者は多い。結果、何もできず田舎に逃げ帰ることになる。そんな逃げ帰った先の田舎で、どのような現実が待っているのか。過保護な母親の会社で働くのはいやだ。かといって、仕事を見つけることもできない。

日々、フラフラしているジムがどのようにして変わっていくのか。ジムの夢というのが、作家になりたいという、まさに才能次第の夢なのは辛い。紙と鉛筆さえあれば、どこでもできることを、なんだかんだと理由をつけてやらない。典型的なダメ人間だ。

ジムは兄をダメ人間だとののしる。その結果、兄は自ら運転する車を木に激突させ大けがを負う。近親憎悪の典型というか、自分が同じ道を歩むと恐れ、兄を糾弾する。ジムの他力本願さと、周りの誘惑により下手すれば落ちるところまで落ちる可能性がある。

偶然、バーで出会った看護士のアニカにしても、アニカによってジムが更生したというのも微妙かもしれない。プライドの高さなのか、夢の大きさなのか。ダメ人間が作り上げられるプロセスと、周りの悪意のない行動により、ジムは追い詰められていくのだろう。

ダメ人間再生の物語のようだが、実はただ世間に大量に存在する、都会で夢破れた若者を描いているだけだ。ジムにしても、夢を追い求め田舎を出ていくというだけで、再生できたとは限らない。アニカとの出会いで、どのように変わったのか明確ではない。

母親との関係や、バスケチームの子供たちとの関係など、ジムが抱える問題はたくさんあったはずだが、それらがいつの間にかうやむやのまま解決している。ジムのダメ人間具合がステレオタイプなダメ人間なのは、かなり好感がもてる。

夢やぶれた若者は、どのように再生するのか、結局よくわからない。



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