レッドバロン


 2014.6.12     実在したエースパイロット 【レッドバロン】  HOME

                     
評価:3

■ヒトコト感想
第一次世界大戦のドイツにレッドバロンという戦闘機乗りの英雄がいた。今の戦闘機とは違い、当時は飛行機に機関銃がついた程度のもの。パイロットの腕と運がすべてを決める。合計80機落とし、撃墜王と呼ばれた男の苦悩が描かれている。英雄視されることへの反発がありながら、貴族に生まれたため、圧倒的に裕福な雰囲気がある。

リヒトホーフェンは自分の戦果をプロパガンダに使われることに反発する。しかし、他の一般兵士たちとは明らかに差別された恵まれた環境で戦っている。矛盾をふくみながら、仲間と共に戦う姿は強烈だ。戦闘が終わり、仲間と戯れるひとときは、本当に普通の若者だが、ひとたび戦闘となると…。戦時中の過酷な状況がそうさせているのだろう。

■ストーリー

貴族階級の軍人の子としてこの世に生まれ、若くして戦闘機乗りとしての類い希な才能を開花させたリヒトホーフェン。自軍を悩ますイギリス軍のエース・パイロットを撃墜し、軍人最高の栄誉であるプール・ル・メリット勲章を授かった彼は、“レッド・バロン”の異名をヨーロッパ全土に轟かせていく。

しかし、戦意高揚のプロパガンダをもくろむ最高司令部によって不死身の英雄に祭り上げられたリヒトホーフェンは、度重なる闘いで仲間たちを失い、敵の銃弾を浴びたことで心身共に深く傷つき、戦争そのものに疑念を抱くようになっていく。

■感想
レッドバロンの存在は知らなかった。戦闘機を全面、目立つ赤にペイントし、敵機を次々と撃墜していく。撃墜王の異名を持つリヒトホーフェンの活躍を描いた本作。戦闘機同士のスリリングな戦闘描写はすばらしい。セスナ機に機関銃をつけ敵を殲滅する。

コンピュータ制御された現代の戦闘機と違い、まさにパイロットの腕がそのまま飛行機の動きとなるので、すなわち、戦闘で生き残れるかどうかは、自分の腕次第ということになる。不意打ちを受け墜落寸前まで追い込まれたこともあるが、それでもしぶとく生き残るリヒトホーフェンの運の強さは衝撃的だ。

レッドバロンとその仲間たちは個性豊かだ。特に自分たちの乗る戦闘機には独自のペイントを施す。エースパイロットはそれなりに目立つペイントをする。敵機を死地へといざなうという死神のペイントまである。ニット帽を被れば生きて帰れるというゲンをかつぐ男をはじめ、仲間たちが次々と死んでいくのは衝撃的だ。

途中まではこれが戦争だということを忘れるほど、レッドバロンたちは、圧倒的な力で敵を殲滅していく。しかし、戦争であるだけに、仲間が撃墜されることもある。そんな悲劇のシーンは見ていて心が痛くなる。

英雄と祭り上げられ、それに反発するリヒトホーフェン。貴族出身であることと戦闘機乗りのエースということで、明らかに他の一般兵とは待遇が違う。野戦病院では回復の見込みのない兵士たちが苦しみながら死んでいく。戦闘機乗りとして優雅に庭でパーティを開くリヒトホーフェンの映像とのギャップがすさまじい。

真っ赤な戦闘機で戦うエースパイロットはかっこいい。が、その内面はおぼっちゃま気質が抜けない、わがままな男のように思えてくる。ラストは戦闘機乗りの宿命とも言える終わり方をする。

戦闘機同士の戦闘シーンはスリリングだ。



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