2014.11.26 はしゃぐオヤジ 【ぱいかじ南海作戦】 HOME
評価:3
■ヒトコト感想
リストラされた男が南の島ではしゃぐ。序盤は南の島の不便な生活も地元のホームレスたちと協力することで楽しく過ごせている。そんなある日、ホームレスたちに酔わされ、荷物をすべて盗まれたことに気づく佐々木。南の島の解放感と、そこへやってくる無垢な若者を騙そうとする佐々木。自分がやられたことと、同じことをやろうとする。
このあたりのユーモアあふれる佐々木の葛藤がすばらしい。そして、ビーチでの生活に参加する女性二人組。4人の奇妙な生活がすこぶる面白い。不便ながらも、南の島の解放感というのはすさまじい。都会で働く大人たちがうらやむような生活であり、そこにはロマンがあるように思えてしまう。個性的なホームレスたちのインパクトが、本作全体の流れを決めている。
■ストーリー
リストラと離婚が同時にやってきた佐々木は、唐突に気分転換をと思い立ち、南の果てまで来てしまった。 島に着いたその日に4人組のキャンプ生活者と出会い、一瞬にして「ここはパラダイスだ!
」と有頂天に。悩みを打ち明け、癒され、飲み交わすビールは人生最高の味だった。 しかし酒盛りに酔い潰れた翌日、佐々木の持ち物の一切合財と共に4人組は忽然と姿を消してしまう。
いよいよ全てを失い、途方に暮れる佐々木のもとに、都会生活に疲れて島を訪れた若者オッコチ、そして関西娘2人組のアパとキミが加わって、4人の奇妙な海浜生活がスタート。
次第に結束は固まっていく。 そんなある日、出先で4人組のホームレスの噂を耳にした佐々木は全財産を取り返すべく、リベンジを決意する。 起死回生の賭け、佐々木の“ぱいかじ南海作戦"の始まりだった…。
■感想
リストラされた冴えないおじさんが、ビーチでサバイバル生活をする。まず、いきなり登場するホームレスがすさまじい。正直な感想としては「きたない」だ。髭面のオジサンが半裸で真っ黒に日焼けし、ニヤケながら良くわからない言葉を口にする。
缶ビールを飲むシーンは、確かにとてつもなくうまそうに見える。海をトイレ替わりにし、ビーチで眠り、魚を取って食べる。まさに自然に生きる者たちなのだが、善良なホームレスのはずが、佐々木の荷物を根こそぎ持ち逃げするという、そのギャップがまた面白い。
無一文になった佐々木は、自分が騙されたように、何も知らない無垢な若者を騙そうとする。南の島のビーチというのは、青い空と海だけで強烈な魅力にあふれている。そこでサバイバルな人物と出会ったとしたら、たちまち虜になるのもよくわかる。
佐々木を信頼する若者や、胡散臭く感じながらも、仲よくビーチ生活を楽しむ女子二人など、変なテンションの面白さがある。ビーチでのサバイバル生活における、カレーやカップラーメンのうまさ。酒の貴重さ。そして、米の重要さ。いちいち面白おかしく描いているのがすごい。
タイトルにあるとおり、佐々木の荷物を盗んだホームレスを探すのが作戦のひとつとなる。憎きホームレスを見事探し出した佐々木は…。やはり、本作の一番のポイントはこのホームレスたちだろう。濃いキャラもそうだが、何より気持ち悪さが良い。
ニヤニヤして声をほとんど発さない代わりに、キラキラ輝くような見事な土下座をする。ゴミゴミとした都会で、相手を蹴り落としながら働くサラリーマンには憧れの世界だろう。ただ、そこには苦難もあるはずだが、本作のような雰囲気ならば、我慢できるなぁ、と思えてしまう。
ピエール瀧扮するホームレスは、すさまじいインパクトだ。
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