魔王城殺人事件 


 2014.11.3      ミステリー初心者におすすめ 【魔王城殺人事件】  HOME

                     

評価:3

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■ヒトコト感想

小学生たちが探偵まがいのことをして不思議な現象を解き明かそうとする。子供向けなのか、流れは非常に単純だ。悪魔の屋敷的な印象のある”デオドロス城”で、乳母車に入った死体を見つけたが、次の瞬間には、その死体が消えていた。後日、同一と思われる人物が大阪で死んでいた。子供たちはワープしたのかと騒ぎだし、調査をしようとする。

子供たちだけでの調査では限界がある。従弟の刑事に話すことで、本格的な真相究明へと繋がっていくのだが…。子供目線での物語のため、単純明快な部分がよい。ただ、ひねりがないので、ミステリーを読み慣れている人にとっては物足りないと感じるかもしれない。と言いつつも物質消失トリックは非常に興味深い。

■ストーリー

星野台小5年1組の翔太たちは探偵クラブ「51分署捜査1課」を結成。いくつかの事件を解決後、“デオドロス城”にまつわる怪しいウワサの真相を確かめるために探検を開始する。デオドロス城とは、町外れの悪魔の巣窟のような屋敷のことだ。潜入直後、突然ゾンビ女(?)が出現!さらに庭の小屋では謎の消失現象を目の当たりに!!謎を解明するため、後日屋敷に再び潜入した「51分署捜査1課」は例の小屋で死体を発見するが…。

■感想
町はずれにある悪魔が住むような古びた屋敷”デオドロス城”。ゾンビ女が出現したり、物質が消失したりする現象を確認しようと小学生たちが忍び込む。そこで、乳母車に乗せられた死体を見つけてしまう。次の瞬間には、乳母車ごと消失したことで、さらに屋敷の不気味さは増してくる。

小学生目線で、物質が消失したという流れとなる。東京で見た死体が、同じころ大阪に存在する。となると、物質を転送させる装置が屋敷にあるとしか思えない。小学生たちはワープを現実のものと考えてしまう。

単純なミステリーなので入り込みやすい。屋敷から物が消え、死体は大阪までワープしてしまう。その謎を解くために様々な条件を考え出す。小学生たちが考えるトリックはごく普通で、違和感はない。ただ、ミステリー好きな人が読むと、なんとなく屋敷の部屋の形から連想できてしまう。

物質が本当にワープするわけがない。最初からそのことを頭に入れていると、答えはすんなりとでてくるだろう。小学生たちがトリック解明に奮闘するさまの面白さと、現実として示された答えのシンプルさにしびれてしまう。

小学生が主人公のミステリー物語のため、複雑なトリックや納得できない動機などはない。シンプルで単純。そもそもの謎が物質消失やワープとういことなので、誰もがイメージしやすい。そのかわり、ミステリーを読み慣れている人ならば、終盤になるとトリックに感づいてしまうだろう。

ミステリー初心者には、これほどうってつけの作品はない。現代の科学では不可能なワープを物理的に実現するトリックが存在するのか?というワクワク感はある。合間にアリをテーマとしたミステリークイズがあるのも、ワープトリックを引き立てている。

ミステリー初心者におすすめだ。



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