ジャッキー・コーガン


 2014.5.27     「優しく殺す」男 【ジャッキー・コーガン】  HOME

                     
評価:3

■ヒトコト感想
賭場を荒らしたチンピラと、始末する殺し屋の物語。単純な話なのだが、キャラクターの個性と会話重視の流れが変化を生んでいる。特に、ジャッキーと会話する者たちの雰囲気が良い。アル中の殺し屋やビジネスライクな連絡係。殺されるとおびえるチンピラや、金に狂った同業者など。そして、一番の特徴は殺しのシーンだ。

とてつもなく残虐なシーンが続くが、なぜかジャッキーが絡むシーンだけは、しっとりとした音楽が流れ、スローモーションで銃弾のひとつひとつの動きが描かれる。単純な殺しでは終わらせない、「優しさ」を表現しているのか。残虐なシーンをあたかも美しく感動的なシーンのように思わせる演出なのだろうか。

■ストーリー

「優しく殺す」をモットーにする殺し屋ジャッキー・コーガン(ブラッド・ピット)は、“ドライバー"と呼ばれるエージェント(リチャード・ジェンキンス)から賭博場強盗の黒幕を捜す依頼を受ける。彼は前科のあるマーキー(レイ・リオッタ)を捜し出したものの、強盗を仕組んだのは別の悪党3人組であることが判明。金に狂ったギャング、エージェントの背後の影、さらに同業者たちの思惑と裏切りが複雑に絡み合った時、ジャッキーが辿り着いた結末とは…。

■感想
チンピラたちの会話からスタートする本作。賭場荒らしにしても、話し合いにしても、とりとめのない会話が続くのが本作の特徴だ。殺し屋の物語のはずが、殺しのシーンよりも会話のシーンが多い。連絡係りからターゲットの話を聞く。誰を始末するか話をする。

仲間に要件を伝える。同業者に仕事を依頼する。それらすべてが会話として描かれているのだが、激しさはない。かと思うと、殺しのシーンでは、今までの静かなシーンを吹き飛ばすような残酷さがまっている。

ジャッキーが相手を殺害するシーンは印象的だ。何気ないそぶりで、ターゲットを始末する。その瞬間から、優雅な音楽が流れ、弾丸のひとつひとつがスローモーションで描かれる。人間の頭が弾丸に貫かれ、血が吹出すシーンまでも、優雅なものに思えてくるから不思議だ。

ジャッキーが少し悲しげな表情で、始末したターゲットの姿を見下ろすシーンがすべてを物語っている。ジャッキーが絡まない残虐シーンはかなりグロテスクだ。そこまで映像として描く必要があるのか?と思えるほど強烈だ。

ジャッキーが会話するシーンのバックにはオバマの演説が流れる。これにどういった意味があるのか。物語はかなりあっさりと終わってしまう。メインキャラの中には、ジャッキーの言葉だけでその後どうなったか描かれないキャラさえいる。

ジャッキーにしっかりと始末をつけてもらえれば、それなりだということなのか。世間的にどの程度ヒットしたのかわからないが、かなり一般受けは悪そうだ。グロテスクなシーンがあり、いくらブラピが主演といっても、ライトな映画ファンが喜ぶような作品でないことは確かだ。

「優しく殺す」の表現は、映像や音楽で、ということなのだろう。



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