2014.12.17 頭ツルツルの殺人マシーン 【ヒットマン】 HOME
評価:3
■ヒトコト感想
生まれた時から殺し屋になるためのエリート教育を受けた男。名前はなく47と番号で呼ばれる。圧倒的な力を持つ殺し屋の物語は、その弱みをどのように表現するかが面白さのポイントだろう。本作では、機械のように正確で、決して失敗しない男の弱みとして、偶然出会った娼婦の存在がある。ただ、その娼婦さえも殺人マシーンのような男にとっては、いつでも切り捨てることができる存在でしかない。
47の圧倒的な暗殺技術にしびれてしまう。どれだけ強固な警備が敷かれていようとも、あっさりと破り、ターゲットを始末する。唯一苦戦するのは、同じ機関出身の殺し屋たちだけ。殺し屋のエリートたちは、みな頭をツルツルにそり上げているのでわかりやすい。
■ストーリー
エージェント47という名でのみ知られている冷徹なエリート暗殺者は、次の仕事のためにロシアに潜伏し、ターゲットであるロシアの政治家ミハイル・ベリコフを見事射殺する。しかし、密告によりインターポールとFSB(ロシア連邦保安庁)の双方から追われる身となる。
いったい誰が密告したのか? なぜ自分が抹殺されなければならないのかを探るうち、その鍵を握る美しく傷ついた謎の娼婦ニカと出会う。自分を罠にはめた犯人を捜すためニカと行動を共にするうちに、彼自身の中に人間らしさが芽生えはじめる。しかしこれまで経験したことのないその感情こそが、彼自身にとって最大の脅威となっていく……。
■感想
ロシアの政治家を暗殺したはずが生きていた。決してミスしない男は、そのからくりに気づき…。殺人マシーンのすさまじさに圧倒されてしまう。飛び散る血しぶき。容赦ない拷問。銃弾が飛び交う中でも、両手にマシンガンを持ち振り回すだけで、周りの敵はすべて死んでいく。
自分が常駐するホテルでは、あらゆる仕掛けをし、敵がせめて来たらすぐに気づく仕組みとなる。さらには、それらの激しい戦いを繰り広げたとしても、涼しい顔でまったく呼吸を乱さず歩き出す。強烈なキャラクターだ。
47が相手を脅迫する際に、なんら情けはない。そもそも脅迫する理由がなければ、あっさりと殺してしまう。あまりにあっさりとした脅迫なので、逆にそれが恐ろしくなる。恐ろしい言葉で相手の恐怖心を刺激するよりも、何事もなく普通のことのように恐ろしい言葉を口にする方が恐ろしい。
47の言葉には人間味がいっさいない。娼婦の女と行動を共にした際も、まったく優しさがない。娼婦が47をベッドに押し倒したとしても、娼婦の首に注射器を刺し、サラリと逃げ出してしまう。この突き抜けた感じがすばらしい。
この手の殺し屋はどこかで人間味あふれる行動をするはずだが、結局のところ47は最後まで完璧なマシーンと化している。47を長年追い続けた刑事に対して、身代わりの死体を用意したから追いかけるのを止めろと言う。
そこには当然、断れば家族の命はない、という普通の口調でサラリと脅しが付け加えられている。神出鬼没で完璧な殺し屋。涼しい顔をして殺しを実行する。普通であれば、娼婦と再会し、良い関係になるのだが、47はそうはならない。最後まで強烈なキャラクターは維持されている。
間違いなく、47の完璧さにしびれることだろう。
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