劇場版タイムスクープハンター 安土城最後の1日


 2014.10.23      戦国時代へタイムスリップ 【劇場版タイムスクープハンター 安土城最後の1日】  HOME

                     
評価:3

■ヒトコト感想
NHKで放送されていた歴史ミステリードラマの劇場版。ドラマについては少しだけ見たことがあったが、一話完結物なので、問題なく楽しめた。それが、劇場版となったことでどうなるのか。正直、劇場版としての特徴はない。歴史的謎について、タイムスクープハンターがタイムスリップし、謎を解き明かす。

今回は、安土城の最後についてのスクープだが、それよりも、高価な茶器が盗まれたことについての謎がメインに描かれている。タイムスクープハンターと同じ、未来からの来訪者による高価な茶器の盗難。単純に歴史探訪だけでなく、別の未来人との複雑なからみが物語を面白くしている。記者が第三者的立場で戦国時代の農民たちに接しているのも特徴かもしれない。

■ストーリー

あらゆる時代にタイムワープし人々の生活を記録し続けている時空ジャーナリスト沢嶋(要潤)は、「本能寺の変」直後の京都で右往左往する庶民に話を聞いていた。幻の茶器を持つ商人(上島竜兵)を取材中、未来の武器を所有する山伏に襲撃され茶器の行方がわからなくなってしまう。茶器を追ってさまざまな時代を行き来した沢嶋は、焼失する直前の安土城にたどり着く。

■感想
過去の謎を未来人が解き明かす。あくまでも記者というスタンスなので、その時代に深く入り込むことはタブーとされている。歴史の改変や、歴史に介入することは厳禁。そんな状態でありながら、正体不明の未来人により高価な茶器が奪われる。

戦国時代に突如登場した未来人は、その風貌から現地の人々に怪しまれるかと思いきや、すんなりと溶け込んでいる。カメラ目線でインタビューに答える姿は、現代と変わらない。このあたり、記者の力量だけで説明されるには、あまりに違和感がありすぎる。

戦時中の日本にタイムスリップした際の、現地の人々の反応が本来正しいのだろう。風貌の違う怪しげな人物がいれば、騒ぎになるのが当然だ。そのあたり、戦国時代であればなおさら未来人に対する敏感な反応があるはずが、ほとんど見られない。異国の者か?という反応だけとなる。

都合よく、あらゆる場に居合わせるタイムスクープハンターたち。対象者の時間を止める力のある銃が秀逸であるのはもちろんだが、その先にあるのは、歴史を守るという使命感だ。未来人が歴史に関与しないというのは、会って話をしている時点で影響があるような気がした。

安土城や本能寺の変のあたりは、ちょうど「覇王の番人」を読んだところなので興味があった。もしかしたら本能寺の変の新たな真実が提唱されるのかと思いきや、謎についての解釈はない。明智光秀が反乱を起こそうとしたきっかけや、その後、秀吉が天下をとるまでのスピードの速さについて語らていれば、もう少し激しい物語になったような気がした。

未来人が戦国時代へタイムスリップし、そこで謎を解明するというのは面白いと思う。が、ドラマレベルから脱却していないような気がした。劇場版としての売りがほとんどないように思えて仕方がない。

ドラマのファンならば楽しめることだろう。



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