フェイシズ


 2014.7.2     人の顔が判別できない演出 【フェイシズ】  HOME

                     
評価:3

■ヒトコト感想
人の顔が判別できなくなる。殺人鬼の殺害現場に居合わせ、頭を強打したことから、人の顔が認識できなくなる。というのを、映像でどように表現するのかと思ったら…。かなり思い切った方法にでている。アンナが瞬きした瞬間に、目の前にいる男がまったくの別人になっている。その方法は、演じている俳優を代えている。確かに衝撃的な状況ではあるが、この症状により観衆としてもかなり混乱してしまう。

もともとキャラの個性がそれほど立っているわけではないので、見分けがつかなかったが、実際に俳優がコロコロ代わることで混乱は増した。状況的にはアンナが陥った状況に近いのかもしれないが、人物を正しく認識するのに時間をとられ、肝心な内容がぼやけてしまったような気がした。

■ストーリー

女性を殺してレイプし、泣く…。出没する連続殺人鬼は、“涙のジャック"と呼ばれた。6件目の犯行が起こる。目撃者は、恋人と順風満帆な生活を送る小学校の女性教師、アンナ。アンナは“涙のジャック"に追いかけられ川に落ち一命を取り留めるも、確かに目撃していたはずの犯人の「顔」が思い出せない。橋から落ちた時のショックで<相貌失認:人の顔が判別できない症状>になってしまっていた。

■感想
”涙のジャック”と呼ばれる連続殺人鬼。目撃者のアンナは頭を強打し、人の顔が判別できなくなる。ついさっき目の前で話をしていた人が、瞬きをするとまったく別人となる。待ち合わせをしても、誰が誰だかわからない。当然、同棲する恋人の顔も…。

とんでもない状況だが、そのとんでもなさを映像としてどのように表現するのか。アンナにだけ顔がわからない演技をさせても状況の深刻さは伝わらない。となると、次に監督がとった作戦は、演じる俳優を代えるということだ。一瞬、何が起こったのかわからなくなったが、すぐにその意図を理解できた。

元々、欧米人の顔の区別は日本人にとっては簡単なものではない。ただでさえ、そんなハンディがある状態なので、かなり苦労した。顔がコロコロ変わるのは、アンナの状況を表現しているとして、自分の中でキャラクターの同一性が保てない部分があった。

俳優が代わるという刷り込みがあったのもあるが、やはりそもそも見分けがつきにくいというのもあったのだろう。刑事が唯一の特徴であった髭を剃ってしまうと、途端にその他大勢の中に紛れ込んでしまった。

アンナの混乱は、そのまま観衆の混乱へとつながる。ラストは懐かしのフェイスオフ的に、誰が敵で誰が味方かわからなくなる。顔の見分けがつかないのなら、どこで判断するのか。なぜか髭だけはしっかりと認識できるアンナの症状により、劇的な結末を迎えることになる。

本人だけが人の顔を認識できないというのは新しい。そして、その表現方法も斬新というか、思い切ったやり方をしている。結果として、それが観衆をより混乱させることになったとしても、外せない要素だったのだろう。

顔を認識できない混乱を経験できる作品だ。



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