エグジット・スピード


 2014.9.22      ここだけ世紀末 【エグジット・スピード】  HOME

                     
評価:3

■ヒトコト感想
低予算アクション映画らしく、余分なドラマがない。長距離バスが、ならず者たちに襲われ、そして、廃墟で対決する。あまりに強烈すぎるストーリーだ。バスの乗客は、主婦、元軍人、アーチェリー選手、不法滞在者、カップルとバラエティに富んでいる。対してならず者集団はノマドと呼ばれ、まるで北斗の拳の悪役のように、革ジャン、バイク、モヒカン、長髪、顔にペイント、そしてショットガンまで持つ。

そこだけ一時的な世紀末だ。対決がすすみ、バスの乗客たちは次々死んでいく。そして最後には…。わかりやすく善と悪の図式を作り、善にはそれぞれキャラ付けをする。悪はその他大勢だが、見た目ですでに強烈な悪役個性を放っている。久々に、ここまで潔い映画を見た。

■ストーリー

エル・パソに向けて走行中のバスに、悪質なバイカーたちが嫌がらせを仕掛けてくる。彼らを振り切ろうとしたバスは、誤ってバイカーのひとりを轢いてしまい…。

■感想
ノマドたちはなぜバスを襲うのか?最初は仲間がバスに轢かれたことを根にもってのことだが、次第によくわからなくなってくる。ノマドたちは大量の武器を持っているにも関わらず、なぜか廃墟に立てこもる乗客たちに手出しができない。

乗客たちはたった一つの武器であるハンドガンだけでノマドたちに対抗する。お決まりどおり、立てこもる側はそれぞれの思惑で対立しながら、ノマドの脅威にさらされると、協力せざるお得ない。個性豊かな乗客たちが、それぞれの特技を活かしながらノマドと対決するのは定番的流れだ。

分かりやすい悪役たちに人格は存在しない。叫び声を上げ、銃をぶっ放し、バイクで走り回る。仲間が弓矢に貫かれたとしても、悲しむ描写はない。ただ、暴力と混沌だけを好むように、暴れまわる。唯一、仲間の死を悲しむような描写があるが、キャラクターとして取り上げられることはない。

結局のところ、乗客側からしたら、ノマドは全体としての悪でしかない。乗客の仲間がひとり殺されると、わずかな思い出を懐かしみ悲しむ。それでいて、ノマドたちを炎で蒸し焼きにしたりする。このギャップがすさまじい。

人が激しく死にまくるのに、助けがこない。ここだけ、世紀末で無政府状態なのか?と思わせるほど、ノマドたちの暴れっぷりはすさまじい。いくらアメリカでも、これほどの無法地帯はありえないだろう。純粋なアクションとして人が死にまくり、個性的な乗客たちが手作りの武器などで対向する場面を楽しむべきだろう。

ただ、善の側も、実はかなり残酷な行為をしているのに、善というラベルを付けられただけで、すべてが正当化されている。ここ最近このパターンの映画を見ることがなかったので、懐かしさを感じてしまった。

マイナーな作品であることは間違いないが、ある意味貴重だ。



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