誰も守ってくれない


 2014.9.30      犯罪者家族の人権は? 【誰も守ってくれない】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
犯罪者家族の人権をどうとらえるのか。マスコミに追い回される犯罪者家族を守る刑事目線の物語だ。一般市民の感情としては、犯罪を犯したその家族にもなんらかの責任があると思い、怒りの気持ちをぶつけたくなる気持ちもわかる。被害者家族の人権が守られるのは当然として、犯罪者の家族に対してどのように対応するのかが問題となっている。

激しく追いかけまわすマスコミ。悲惨な事件を起した犯人の家族なのだから、答える義務があると迫りくる。何も知らない中学生の少女は困惑するばかり。本作ではマスコミの脅威よりも、ネットの脅威を強く描いている。今の時代、話題の事件となればすぐに顔写真や本名がネット中を駆け巡り、それを止めることはできない。なんとも恐ろしい世の中だ。

■ストーリー

ごく平凡な四人家族の船村家。ある日突然、その一家の未成年の長男が、小学生姉妹殺人事件の容疑者として逮捕される。刑事・勝浦と三島は、その容疑者家族の保護を命じられる。15才の娘の沙織の保護は、彼女と同い年の娘を持つ勝浦が担当することになる…。

■感想
例え犯人が未成年であっても、マスコミやネットは放っておいてはくれない。より激しく攻撃し、その攻撃は家族や周りをも巻き込む。犯罪者家族を守るため、刑事がはりつき、あらゆる手を尽くして逃げ惑う。これが本当に現実のことかと驚かずにはいられない。

ただ、国民感情としては、犯罪者家族に対して、何かしらの謝罪や断罪を期待してしまうのかもしれない。犯人逮捕が決定的となった瞬間、家族の元にやってくる裁判所の者たちの動きは強烈だ。苗字を変えるため、夫婦を一度離婚させ、母親の姓で再婚を迫る。その動きの速さに圧倒されてしまう。

何も知らない中学生の妹は戸惑うばかり。仮に姓を変えなかったとしたら、一生どこまでも犯罪者の家族だと追いかけまわされる人生が待っている。かなり強烈だ。本人には何の責任もないとしても、将来には結婚する際に、間違いなく問題になるだろう。

家族に犯罪者がいる、というただそれだけのことが人生を狂わせる。刑事目線の物語のため、刑事の過去のトラウマなどとからめ、犯罪者家族の人権についても語られている。どれだけ正論だとしても、被害者からしたら犯罪者の家族まで憎いのは当然だろう。

マスコミの脅威よりもネットの脅威がより強く描かれている。今の時代、ネットがあれば世界中どこでも情報は繋がってしまう。そのため、どこに逃げても見つかる可能性がある。ネットの無慈悲で無差別な攻撃からは逃れることができない。

一度ネット上に顔写真や名前が流出すれば、その拡散を止めることはできない。人の不幸を喜ぶような、際限のない攻撃の数々。結局のところ、警察組織としては完璧に犯罪者家族を守ることはできないということだ。

逮捕から妹を連れだすまでの怒涛の展開は目が離せない。



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