2014.6.22 前世は存在するのか? 【ブードゥー・チャイルド】 HOME
評価:3
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■ヒトコト感想
前世の記憶、黒魔術、ブードゥー教。怪しげな言葉が並べられ、不思議な雰囲気のまま物語が進む。前世の記憶があると主張する少年が事件に巻き込まれる。前世は黒人で、バロン・サムデイという悪魔に腹をえぐられて殺されたと言う。そして、現世では母親が何者かに殺される。前世は本当に存在するのか。
チャーリーという名で呼ばれた前世を解き明かそうと苦悩する少年は、ネット上に情報を求めようとする。非科学的な部分と、IT化を駆使する部分が入り混じる本作。すべての事件の元凶は、少年が言う前世に関わることであり、そのオチに気づいたとき、どのような感想をもつのか。多少強引な気もするが、前世は存在したと思わせる流れは良い。
■ストーリー
今ぼくは第二の人生を送っています。つまりぼくには前世があるのです。ある雨の日の晩にバロン・サムデイがやってきて、おなかをえぐられて、そうしてぼくは死にました。前世、ぼくは黒人でした。チャーリー―それがぼくの名前でした。―現世に蘇る、前世でいちばん残酷な日。不可解な謎を孕む戦慄の殺人劇に、天才少年探偵が挑む!長編本格ミステリ。
■感想
前世はチャーリーという黒人だった。荒唐無稽な独白からはじまる本作。前世を信じてやまない少年が、自分の前世の情報を探し求める。探究先がネット上であり、自らWEBサイトを開き、そこで情報をつのる。前世は存在するのかあいまいなまま進むのだが、ある奇妙な電話により事態は急変する。
物語は当然のことながら、前世は存在するという流れとなる。前世の因縁から、少年の育ての母親が殺され、父親までも何者かに襲撃される。すべては前世に関係があると思わせる流れだ。
中盤以降、ネット上で知り合ったジュリアと事件を調査することになる。ジュリアが車いすに乗った天才少年であり、次々と少年の疑問を解決していく。定番かもしれないが、ジュリアはすべてに気づいていながら真実を最後まで語らない。
チャーリーとは何者なのか。前世は本当に存在したのか。現実的な容疑者と、前世と関係のありそうな人物に板挟みとなり、少年たちは混乱する。そして、物語は少年の出生の秘密へと移り変わるのだが…。
印象としては、IT関連を駆使することと、最新テクノロジーを使った出産についての倫理的な問題をからめている。物語の核心を読むと、納得はするのだが、物語の流れには不自然なものを感じずにはいられない。
親の複雑な心境が絡んでいるとはいえ、人をひとり殺したことに対しての重さがない。死体のそばに置かれていた悪魔の絵や、そのほか数々の前世を暗示させるような証拠はかなりこじつけに感じられてしまう。そのため、オチの衝撃度は少ない。
非科学的な現象は、必ず種明かしされる刷り込みがあったため、最後まで懐疑的に読み進めた結果、予想に近いオチだった。
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