ボーン・コレクター


 2014.4.21    アメリカ版 安楽椅子探偵 【ボーン・コレクター】  HOME

                     
評価:3

■ヒトコト感想
怪我で手足の自由を奪われた男が、ベッド上で推理を働かせる。雰囲気的には「羊たちの沈黙」のように思えてくる。推理役の者が自分の手足となる女警官と共に事件を解決する。レクター博士ほど特殊ではないが、本作のライムもそれなりに偏屈だ。ライムはベッドで寝たきりながら、適格な指示と信じられないような分析力で事件を解き明かしていく。

事件の恐ろしさのピークは、その殺人方法だろう。特に強烈なのは、熱いスチームが吹出すパイプの真ん前に座らされるシーンだ。本作では、これでもかと残酷な殺害方法を映像的に表現している。そのため、犯人の異常さと事件の不可解さは増大する。ライムと犯人の知恵比べをひたすら追いかけるような感じだ。

■ストーリー

科学捜査官のライムは、4年前に傷を負い手足の自由を奪われてしまう。ある日、パトロール警官のアメリアが無惨な変死体を発見。ライムは協力を求められ、動けない彼の代わりにアメリアが現場検分を行うことに。難解なメッセージを残し、次々と猟奇殺人を繰り返す犯人。そして明かされた驚愕の事実とは?!

■感想
手足が動かないベッド上の男が、周りを使い、声で反応するコンピュータを使いながら事件を調査する。今では当たり前となった音声認識も、当時では画期的だったのだろう。パソコンの画面を見てもかなり古く、時代を感じずにはいられない。

強烈なインパクトはなくとも、最先端の医療機器を使いながら、遠隔地で情報収集し捜査する。ライムの病室が仮の司令室のようになり、そこに精鋭たちが集まり調査を続ける。特殊な環境と、すぐれた人物がライムの周りに集まることからも、ライムの優秀さが伝わってくる。

事件の奇妙さはすさまじい。線路に埋められた死体。高温のスチームを吹きかけられて殺された死体。そして、生きたままネズミに食い殺された死体。細かな遺留品を元にライムが捜査するのだが、小難しい理屈をライムが説明し、さも説得力があるような結果がでる。

このあたり、かなりご都合主義的だが、見ている方からするとワクワクしてくる。少しのヒントからここまで想定するか?というほど、ライムの推理は奥深くをいっている。とんでもない知識量から生み出される推理には圧倒されてしまう。

事件は思わぬ人物が犯人となる。時間に追われ緊迫感あふれるアクションは、アンジェリーナジョリーが担当し、頭脳労働はひたすらデンゼルワシントンが担当する。このコンビが最初は違和感があったが、次第に慣れてくるのが不思議だ。

ラストの間際には、その役割がまるっきり逆となり、ライムが動かない体をめい一杯動かしてアクションをする。二手先、三手先を読むライムだからこそ、手足が動かなくとも、敵と渡り合うことができたのだろう。

古い映画だが、恐ろしげな雰囲気は十分に伝わってきた。



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